2002年4月1日から2006年3月30日に終夜ポリグラフ検査を行った16歳未満の100例を連続抽出し, 2005年に改訂された国際睡眠障害診断分類第2版による診断クライテリアに従い, 後ろ向きの検討を行った。その結果100例中99例が閉塞性睡眠時無呼吸と診断され, 重症度分類では軽症6%, 中等症12%, 重症81%と大半が重症であったが, 成人と比較し, 呼吸イベントでは低呼吸が多く, 睡眠段階判定では, 睡眠構造が保たれている例が多かった。小児で多いとされる努力性呼吸は, 従来の無呼吸低呼吸指数では十分評価されず, 食道内圧測定が有用であり, さらに, 睡眠の不安定性を評価するCAPスコアリングでは, 高値例が多く, 小児で指摘される高次脳機能への影響の評価に応用可能と考えた。上気道所見の結果からは扁桃肥大, 鼻炎など上気道疾患が強い要因と考えられたが, 顎顔面形態 (特に下顎の後退) が標準に比較し小さい例が多く, 手術治療約2年後に身体発育, 顎顔面形態が標準に近づく例が多かった。このようなことを考慮すると, 小児期からもつ顎顔面形態の特徴が成人の閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) の発症に影響している可能性があり, 治療の早期介入が予防となる可能性が考えられた。
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