本研究の目的は,保健休養,レクリェーションなど多くの機能を併せて持つ森林公園において,
アメニティ
(快適性)を形成すると考えられる諸因子に関する公園来訪者や公園管理者等の意識構造を明らかにすることにある。調査対象地は島根県宍道町の「ふるさと森林公園」である。森林公園の
アメニティ
という曖昧な概念の数量的評価にAHP法(Analytic Hierarchy Process:階層化意思決定法)を使用した。当該公園の管理者と公園利用者を対象として
アメニティ
を構成すると想定できる因子に対して一対比較法によるアンケートを実施し,AHP法によって意識構造の階層怪を分析した。分析の結果,森林自体による
アメニティと施設利用によるアメニティ
に関しては,前者を評価した者が圧倒的に多かった。また森林自体の
アメニティ
については視覚によるとした者が圧倒的に多く,次いで聴覚によるとした者が多かった。視覚による
アメニティ
に関しては美しい景観と緑の量をあげた者が多かったが,緑の質をあげた者は少なかった。さらに施設利用による
アメニティ
に関しては運動施設利用,宿泊施設利用,学習施設利用の割合にバラツキが認められ調査対象者によって評価が分かれた。これらの分析結果は森林公園等の今後のあり方に有益な示唆を与えるものと考える。
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