本研究は
アルファベット
, 片仮名, 平仮名, 漢字の能動的触知覚による文字認知の左右差を, 大脳半球の機能的左右差と関連づけて検討することを目的とした. 被験者は強い右手利きの男子学生72名であった. 触刺激は左右いずれかの人差し指に与えられ, 被験者は口頭でその文字を答えるように指示された.
アルファベット
認知は左手優位, 片仮名認知は右手優位, 平仮名, 漢字認知は左右間に有意差なしの結果が得られた. 文字の触認知において, 右半球優位である空間コードによる処理と左半球優位である言語コードによる処理のバランスで, 左右差が表出する可能性が示された. また,
アルファベット
認知における左手優位の結果は, 日本人にとって英語が第二言語であるということに起因する可能性が示唆された.
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