一般廃棄物焼却炉における元素の挙動は, 炉内での複雑な化学反応の結果として焼却灰や集じん灰中にその影響を残すと考えられる。
本稿では, 焼却炉における元素の挙動を明らかにするため, 焼却残渣及び集じん灰85試料について36元素の化学分析を行った。全分析の結果, 各元素の対数平均値が2~1/2倍のばらつきで得られた。主成分分析による統計解析の結果により, 第1主成分ではSi, Ti, Ca等不揮発性元素と, Na, K, Cd等揮発性元素が類別できた。また第2主成分には,
アルミノケイ酸塩
への親和性に関連したAl, Fe, Ni等金属元素や揮発性金属元素が寄与していた。更に逐次サンプリングした炉内灰のSi濃度と他の元素濃度の相関関係からは, 同様な結果に加えて, 異施設間でばらつきの大きいB, Ga, Ag, Cu, Asの相関が明らかになった。
抄録全体を表示