近年, 日本では父親の育児参加が叫ばれるようになり, 父親自身も役割行動を担おうとする動きがみられる。しかし, 多くの父親はその役割に戸惑い, 育児に関われないストレスを感じているといわれている。その背景には, 父親としての認識が大きく関与していると考えられる。そこで本研究では, 父親認識に関する国内外の文献を検索し, その動向や内容から父親認識を育む上で大切な要因について検討した。「父親 (father)」を固定とし,「認識 (recognition)」,「意識 (consciousness)」,「親役割 (paternity)」,「育児行動 (childcare)」,「育児満足度 (childcare satisfaction)」をキーワードとして, 国内では医学中央雑誌, 諸外国ではSCOPUS, CHINALを用いて, 2001年以降の文献を検索した。最終的に, 和文献 (専門書3冊含む) 27件, 英語文献34件を対象文献とし, 内容ごとに分類した。その結果, 対象文献の内容は, 1) 父親像, 2) 父親の育児参加, 3) 夫の関わりにおける夫婦の認識, 4) 父親の役割, 5) 父親意識の形成の五つのカテゴリーに分類され, サブカテゴリーとして20項目が抽出された。父親認識を育むには, 夫婦間の親密度を高め, 子育てへの教育支援, 子育てしやすい社会・職場環境を整えていくことが大切であることが示唆された。
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