汎用の写真画像-それは, 銀塩の感光性に基ずいたプロセスによって作られるものであり, 現用の記録材料の大半を占めている。それだけに, 写真の歴史を通じて蓄積されたその永続性に関する知識・経験は, 他の画像形成システムに関するものをはるかに凌駕している。この汎用写真画像は, 便宜的に黒白画像とカラー画像に分けられている.この報文では, 写真画像の安定性に影響する要因をレビューする。
また, 写真の安定性のデータを基にして, その保存環境, 包材, 複写・複製, 取り扱い方, 展示の各画にわたり推奨できる方法や条件を紹介する。過去約30年の間に電子的な画像形成法が伝統的な形の写真の中に入り込んできている。その画像, 例えば, 磁気記録したテープやディスク, 及びデジタル記録した光ディスクの画像は, モニターテレビに映し出すことも色々の方式でハードコピーに変えることもできる。アナログ方式であれ, デジタル方式であれ, いずれの磁気記録・光記録画像も, また, インクジェット, 熱転写, 或いはその他の方式によるハードコピープリントもその安定性についての知見は, きわめて乏しい状況にある。しかし, これらのいわば二次的な技術が開発された目的は, 画像その他のデータの永続的な保存手段を創造することではないので, この種の記録データの維持には別の基準を提案する必要があるであろう。
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