第二次世界大戦後、廃土と化した国土復興のための国策は、輸出貿易振興による産業の活性化であった。その役割を担う新たな社会的職能として、「幻の技術者」としてのインダストリアルデザイナーが生誕した。戦時中の抑圧から解放され、インダストリアルデザイナーたちは、海外へのデザイン留学や外国人講師の招聘などを通して、先進的な技術・知識を吸収し始めた。このような時代背景のなかで、1952年10月20日、日本における唯一のインダストリアルデザイナーの全国組織である日本インダストリアルデザイナー協会(JIDA)が創立された。JIDAが1950年代に発行した機関誌からは、「インダストリアルデザイナーたちの組織づくり」「
インダストリアルデザイン
の普及・啓蒙」「国際化のなかでの日本の
インダストリアルデザイン
」などの諸問題が読み取れる。1950年代のJIDAは、欧米とりわけアメリカにおける
インダストリアルデザイン
といういわば異文化との遭遇のなかで、総じて、日本の産業・経済・生活に連動する
インダストリアルデザイン
の基盤づくりの役割を担った。
抄録全体を表示