本稿は,1980年代以降の大学,美術館,学校現場で行われてきた美術教育について,教育内容や研究の変遷,又,関連する法制度の改正,経済的背景等をも合わせて考察し,ミュゼオロジー,特に美術館教育が従来の学校現場中心の美術教育に,新たな鑑賞教育やワークショップなどの広がりをもたらした経緯を検証する。さらに現在の美術教育の現場は,学校や美術館を越えたより広範囲なフィールドで実施されることも多くなり,「地域」や「コミュニケーション」という新しい意義や目的も追加されて,複雑に展開しつつある。このようにプロデュースやアートプロジェクトの分野にまで拡大しつつある,大きなアート活動に適応した教育理論や手法として,「アートマネージメント」を柱とした教育の有効性を多方面から論述する。
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