1. 1975年2月から1979年6月にかけて,養殖
ウナギ
のGyrodactylus寄生を調査した結果,ニホン
ウナギ
からGyrodactylusの得られた池は19(千葉・静岡・徳島・宮崎県),ヨーロッパ
ウナギ
からGyrodactylusの得られた池は5(静岡・徳島県)であった。2. Gyrodactylusを同定した所,ニホン
ウナギ
寄生種は全てG.nipponensisであり,ヨーロッパ
ウナギ
寄生種はG.anguillaeとG.nipponensisであった。3. ニホン
ウナギとヨーロッパウナギ
の間には,G.nipponensisに対する感受性に大きな差はないと思われる。最も重篤な寄生例では,ニホン
ウナギ
(体長約45cm)1尾当り約20,000虫体のG.nipponensisが鰓弁から得られた。4. G.anguillaeは日本初報告種であり,種を再記載した。5. 今回得られたG.anguillaeは,ヨーロッパ
ウナギ
とともにフランスから持ち込まれたものと判断された。我が国のニホン
ウナギ
からは,現在までに,G. nipponensisしか見出されず, G. anguillaeが日本に定着したという証拠は得られなかった。ヨーロッパ
ウナギ
寄生のG.nipponensisはニホン
ウナギ
から伝播していったものと推測される。
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