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クエリ検索: "エコツーリズム"
1,385件中 1-20の結果を表示しています
  • *宮内 久光
    日本地理学会発表要旨集
    2007年 2007f 巻 S106
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/11/16
    会議録・要旨集 フリー

    1.はじめに
     沖縄県では,行政レベルでも,民間レベルでも
    エコツーリズム
    への取り組みが進んでいる.既に離島地域には,エコツアーの現地ガイドを行う業者が多数立地し,活発な事業展開を行っている.本地域は全国的にみても
    エコツーリズム
    先進地といえよう.
     
    エコツーリズム
    という観光形態自身が日本に導入されて日が浅いために,研究は緒についたばかりで,研究事例も少ない.先例研究の視点を整理すると,
    エコツーリズム
    という概念自身を明らかにしようとする研究,
    エコツーリズム
    が地域で展開されるプロセスや要因を解明しようとする研究,
    エコツーリズム
    が自然環境や地域社会にどのような影響や変化を与えているのかを解明しようとする研究に大別されよう.
     このうち最後の視点,特に
    エコツーリズム
    が導入された地域で,住民がそれに対してどのような評価をしているのかは,今後離島地域で
    エコツーリズム
    を考える上で重要なものである.しかし,そのような研究はこれまで十分にはされてこなかった.
     そこで本発表では,沖縄県離島地域を対象に,新たな観光形態である
    エコツーリズム
    の展開に関して,行政や民間の取り組み状況を概観した上で,離島住民が
    エコツーリズム
    に対してどのような評価をしているのかアンケート調査を実施し,そこから浮かび上がる課題などを考察する.

    2.
    エコツーリズム
    の展開
     国や県の
    エコツーリズム
    への関わり方は,1990年代と2000年代では変化が見られる。1990年代は,新しい観光のあり方を模索するという,当時の世界的な流れを受けて,
    エコツーリズム
    関係省庁が,沖縄県離島地域をわが国における
    エコツーリズム
    普及のモデルケースとみなして,様々な取り組みを行ってきた。ところが,2000年代に入り,沖縄の地域振興の視点から
    エコツーリズム
    の推進が図られてきている。この流れを受けて,離島市町村でも
    エコツーリズム
    事業が行われてきている.
     一方,民間においては,1991年には座間味村ホエールウオッチング協会が,1996年には日本初の
    エコツーリズム
    協会である西表島
    エコツーリズム
    協会が発足した。さらに,石垣島では2000年に,石垣島エコツアー連絡会が設立され,自然保護と観光開発の両立を目指した取り組みが行われている。

    3.
    エコツーリズム
    に対する住民評価
     
    エコツーリズム
    に対する住民評価を考察するために,全国的にも
    エコツーリズム
    の先進地として考えられている竹富町西表島の全住宅を対象にアンケートを実施した。評価の観点については,環境の保全,観光の発展,地域の振興,地域の主体性,の4つの視点から設問した.
     その結果,次のことが確認できる。西表島での
    エコツーリズム
    に関する地域住民の評価は,環境の保全,観光の発展については弱い肯定,地域の振興についてはわからない,地域の主体性については弱い否定という結果になった。いずれの質問に対しても,なんとも言えないと態度を留保する回答が多く,評価を下すこと自体が難しかったことが伺えた。その理由として,西表島は
    エコツーリズム
    の先進地であり,その知名度は高いが,事業者は県外出身者が多いこと,マスツーリズムと比較すると
    エコツーリズム
    の影響が見えにくいこと,などが考えられる。
  • 中岡 裕章
    地理学評論 Series A
    2018年 91 巻 2 号 146-161
    発行日: 2018年
    公開日: 2022/09/28
    ジャーナル フリー

    本稿は,埼玉県飯能市を事例に,エコツアー実施者の参画意識の差異を,その属性や地域特性の観点から分析し,地域づくりを目的とした

    エコツーリズム
    の意義と問題点を明らかにした.東京大都市圏郊外に位置するベッドタウンとしての性格が強い市の東部に居住する実施者は,参画理由に生きがいや楽しみを挙げる者が多く,ツアーに経済的利益を求めない傾向がある.一方,人口減少と高齢化が急速に進行する市の中・西部に居住する実施者は,ツアーの経済的な利益によって若者の定着などを期待する傾向がある.このように,実施者の参画意識には地域差が認められる.特筆すべき観光資源のない里地里山地域において,生きがいや楽しみを求める実施者の意向が大きく反映されたツアーが多く行われ,地域内外の交流が促進されたことは意義が大きいと考えられるが,他方でツアーに経済的利益を期待する実施者の意向にはそぐわないものとなっていることも明らかとなった.

  • エコツーリズムの定義およびその活用に関する-考察
    金田 岩光, 近藤 健雄
    CELSS JOURNAL
    2001年 13 巻 2 号 25-32
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2010/12/16
    ジャーナル フリー
    This study was to research the definition of Ecotourism and to propose the new concept of Ecotourism and its applicable way. The new definition of Ecotourism could be characterized as three.
    (1) To experience and learn the intact natural environment, culture, and historical buildings and spots.
    (2) To minimally discontinue the impact to the regional resources by tourism and enhance endeavors to conserve its value.
    (3) To give the pleasure from experiences and the message of the real meaning of preservation and conservation to tourists.
    Then, it is linked to the vitalization of the region. Also, it offers the activities to preserve regional environment, cooperating with both tourists and residents.
    Clarifying Ecotourism clears the two types of Ecotourism. One is “Preservation Type of Ecotourism”, and the other is “Symbiosis Type of Ecotourism”. In Japan, the region, which needs the plan of regional vitalization, has been developed. “Symbiosis Type of Ecotourism” is adapted as the new concept of Ecotourism in this study, and it is used as the main concept for vitalizing regions.
    Finally, the application of “Symbiosis Type of Ecotourism” for vitalizing regions is described. “Symbiosis Type of Ecotourism” is composed of six components, “residents, tourists, travel agencies, local government, researchers, and developers”. They have to cooperate with each other to form the region balanced between natural and historical resources, existing tourism resources, and development.
  • 海宝 慎太郎, 阿部 直也
    環境情報科学論文集
    2017年 ceis31 巻
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/25
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は日本において実施されている多様な

    エコツーリズム
    推進自治体について,人口構成・産業などの地域の社会・経済条件を考慮して,
    エコツーリズム
    を推進する自治体の特徴を抽出し,同ツーリズムの今後の推進に資する知見を得ることを目的とした。その結果,現在日本に展開する多様な
    エコツーリズム
    について包括的な理解が可能となり,
    エコツーリズム
    推進自治体は4つの類型に分けられ,各類型の地域統計から3つの異なる
    エコツーリズム
    が推進されていることを推定した。その上で本研究は,3種類の
    エコツーリズム
    を「希少自然リゾート型」「都市部日帰り型」「アクティブ小旅行型」と名付け,同ツーリズムの今後の推進を検討している自治体に対する指針を実証的に提供した。

  • ―西ジャワのカワープティの事例分析―
    ヌリンシャー  ドウィンダ ナフィサー, グナワン  ブディ, フソド  トゥグー, 内山 智裕
    農林業問題研究
    2015年 51 巻 3 号 197-202
    発行日: 2015/12/25
    公開日: 2015/12/29
    ジャーナル フリー HTML
    エコツーリズム
    は過剰な開発等による環境破壊を防ぐとともに,地元住民への職の提供など経済的な価値もある一方,環境破壊につながる可能性もある.インドネシア・西ジャワのKawah Putihは
    エコツーリズム
    の対象として検証すべき地域である.当地域では国営会社Perum Perhutani(以下:PP)が
    エコツーリズム
    に取り組んでいる.本論ではKawah Putihを検討材料に,①PPに対する聞き取りから,対象における
    エコツーリズム
    のコンセプトを,②地元住民に対する聞き取りから,
    エコツーリズム
    への関わりを,③来場者アンケートから,
    エコツーリズム
    活動への意識を,明らかにする.分析の結果,
    エコツーリズム
    の負の側面が次の通り示される.①PPは地元住民との関わりが薄くなった.②PPは地元住民と相談せずにツアーを行っており,地元住民には収入減少に対する不満が存在する.③来場者の多くは環境保護は大切だと考えるが,寄付等の意思のある人は少ない.
  • 奥田 夏樹
    保全生態学研究
    2005年 10 巻 1 号 99-100
    発行日: 2005/06/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    The popularity of ecotourism in Japan has recently increased; however, it may have detrimental effects on ecosystems because of the exhaustive use of natural areas. Field observations of the effects of ecotourism on nature were conducted at Hinai River and an adjacent area on Iriomote Island, Okinawa, Japan, in January 2004. The identified human impacts on the target areas were likely caused in part by the lack of an appropriate design for sustainable use in ecotourism. Ecotourism in developed countries such as Japan should be redesigned with consideration for their different socio-economic situations compared to developing countries for which ecotourism has become adapted. Currently, ecotourism in Japan is not consistent with the sustainable use of nature, because ecotourism has stronger detrimental effects on the ecosystem than did previous types of uses of these natural areas.
  • 吉田 肇
    都市計画論文集
    1999年 34 巻 349-354
    発行日: 1999/10/25
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    Recently, many local governments in remote areas put their energy and resources to attracturban tourists. They would like to know effective methods to meet a variety of urban tourists' sightseeing needs. Eco-tourism is new type of tourism which increasingly becomes popular and has a possibility to attract growing ecology-aware urban people. This study identifies the current situation and the issues of eco-tourism in remote areas by means of conduction experimental group-tours to Okinawa. The special point in these eo-tours lied in that they were planned with local initiative, contrary to the conventional group-tours, which normally travel agencies have the initiative. The study finds the importance of tour guides as interpreters of local nature and culture to attract urban eco-tourists.
  • 埼玉県飯能市を事例に
    *平井 純子
    日本地理学会発表要旨集
    2013年 2013a 巻 408
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/14
    会議録・要旨集 フリー
    1、はじめに21世紀に入り、日本国内では政府により観光開発が重視されると、衰退しつつある地方の地域活性化の手段として、多くの地方自治体が
    エコツーリズム
    に乗り出すようになった。
    エコツーリズム
    が注目されつつある中で、研究は増加傾向にあるが、それは地域づくり、あるいは地域活性化のための成功事例紹介、
    エコツーリズム
    活用法のような実践的なものが多くみられる。一方で、
    エコツーリズム
    を導入した地域で起こる問題については、適切な手法で遂行しないがための問題であるとの認識になりがちで、現場での状況が見えなくなってしまう可能性がある。理論と現実との乖離については直視しない傾向があるがゆえに、
    エコツーリズム
    導入地域の検証が十分になされていない現状にある。2008年、
    エコツーリズム
    大賞を受賞したことにより注目を浴び、里地里山を利用した日本型
    エコツーリズム
    の先進地として、日本各地から多くの視察が訪れるようになった飯能市
    エコツーリズム
    は、今や飯能市にとって無くてはならない要素の一つとなりつつある。しかしながら、その実態はいまだ発展途上の段階にあり、今後の運用あるいは展開次第で今後の命運は大きく分かれるであろうと想定される。2.飯能市
    エコツーリズム
    についての概要
    図:研究対象地域 エコツアーの様子①エコツアーの様子② 飯能市は都心から50キロ圏内に位置し、里山の豊かな自然と歴史や生活文化にあふれる、人口約82,000人の都市である。「森林文化都市」であり、市域の75%が森林となっている。かつて、当該地域は西川材の主たる供給地として林業で成り立っていたが、日本の他の林業地と同様、森の荒廃が進んでいる現状にある。
    エコツーリズム
    への取り組みへのきっかけとなったのは、多くの観光客が訪れているものの、その大半が地域と関わりをもつことなく帰っていく状況の中で、自然環境への悪影響だけがあること、また、中心市街地の活力低下や山間地域の過疎化、さらには森の荒廃など、複数の要因が負のスパイラルを形成しつつあったことにある。2004年3月に環境省によるモデル事業実施地区の募集があり、飯能市は里地里山型の
    エコツーリズム
    モデル地区として選定された。これに伴い、飯能市では同年7月に環境緑水課に担当職員を設置し、10月に「飯能・名栗
    エコツーリズム
    推進協議会準備会」を設置、翌2005年3月までに5回の会議やシンポジウムを開催するなど、
    エコツーリズム
    の推進に向け大きく動き出した。 3.飯能市
    エコツーリズム
    の現状と今後の展望
     飯能市では環境部環境緑水課に
    エコツーリズム
    推進室がおかれ、3名の職員を当てて運営している。また、飯能市
    エコツーリズム
    推進協議会が設置され、さらに活動市民の会という実働部隊も存在する。
    エコツーリズム
    を円滑に機能させるために必要な基礎的な要素が既に存在している。しかし、これまでに何度か議論を経て将来像を描いてきているものの、NPO法人設立の見送りもあり、未だそのシステムが未成熟であるため、機能的に動いているとはいえない体制であることは否めない。一方でシステムの再構築を有効に行えば、伸び代が大いにある部分でもある。
    エコツーリズム
    推進室のこれからの役割を整理し、
    エコツーリズム
    推進協議会を発展の土台とし、また活動市民の会を活動の中核として活用するなど、将来像をもって発展させていくことが肝要となる。 報告では、飯能市
    エコツーリズム
    の現状の詳細と今後の展望について、具体的に言及する予定である。
  • 三部 和哉, 川﨑 興太, 星 優太, 佐藤 歩
    都市計画報告集
    2015年 14 巻 1 号 7-12
    発行日: 2015/06/10
    公開日: 2022/06/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、

    エコツーリズム
    ガイドの問題点とその対策に関する基礎的な知見を得ることを目的とするものである。「裏磐梯エコガイドの会」の会員を対象とするアンケート調査から、十分な収入を得ることができず、高齢のガイドが兼業でまたは退職してから、ガイド活動を行っているということが明らかになった。また、全国の
    エコツーリズム
    地域推進団体に対するアンケート調査から、大半の地域では「ガイドの高齢化・後継者不足」に関する対策は行われていない一方、多くの地域では「ガイドの質の維持・向上」に関する対策が行われているということが明らかになった。今後、
    エコツーリズム
    を発展させるためには、それぞれの地域において、住民や行政などが
    エコツーリズム
    を推進する意義や目標を再確認し、今後のガイドのあり方を検討することが必要である。

  • *張 新語, 武 正憲, 伊藤 弘
    日本森林学会大会発表データベース
    2019年 130 巻 B12
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
    会議録・要旨集 フリー

    日本型

    エコツーリズム
    には、自然環境の保全だけでなく、地域活性や観光振興も期待されていることに特徴がある。
    エコツーリズム
    を推進することで、地域の繋がりが促進されることが指摘されている。しかし、エコツアー実施者が感じる
    エコツーリズム
    の意義や、その仕組みの継続に関する研究は少ない。飯能市は2004年から
    エコツーリズム
    を推進し、
    エコツーリズム
    推進法による全体構想の第一号認定自治体である。さらに、環境省による
    エコツーリズム
    大賞および継続賞を受賞するなど、その継続的な取り組みが評価されている。本研究の目的は、長期間活動を続けるエコツアー実施者が感じる
    エコツーリズム
    の価値およびその仕組みを継続する要因を明らかにすることである。まず、2004年から2017年までの
    エコツーリズム
    推進報告書による文献調査から、飯能市で中核として活動するエコツアー実施団体を抽出した。次に、中核団体の会員へのアンケート調査から、エコツアーを通じて感じている価値を把握し、団体への入会期間の違いによる属性や感じる価値の違いを考察した。

  • 淺野 敏久
    地理科学
    2002年 57 巻 3 号 155-157
    発行日: 2002/07/28
    公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
  • *高山 傑
    日本森林学会大会発表データベース
    2009年 120 巻 J06
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/17
    会議録・要旨集 フリー
  • *中岡 裕章
    日本地理学会発表要旨集
    2015年 2015a 巻 P811
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/05
    会議録・要旨集 フリー
    エコツーリズム
    は,持続可能な観光の一形態であることが知られている.この
    エコツーリズム
    の理念について,立場や視点の違いから様々な議論がなされてきた中で,一般には自然地域(Natural areas)の環境を保全し,かつ地元住民の生活が保障されるように教育的・解説的な活動を伴って実現する旅行(The International Ecotourism Society 2015)として認知されてきている.すなわち,世界的な
    エコツーリズム
    における主たる対象は自然地域と表現するように自然環境であるといえる.
    日本における
    エコツーリズム
    開発においても,はじめは屋久島や知床などの自然遺産地域で展開した.しかし,それら以外の地域は人間との関りの中で保全されてきた環境であることに加え,人文資源が混在する環境である.このため,
    エコツーリズム
    推進協議会(1999)は
    エコツーリズム
    を①自然・歴史・文化など地域資源を生かした観光の成立,②地域資源の保全,③地域資源の健全な存続による地域経済への波及効果の3点を実現するツーリズムと定義した.つまり,世界的な
    エコツーリズム
    の主たる対象が自然環境であるのに対し,日本では歴史や文化などの人文資源も対象として展開している.
    従来の研究では,
    エコツーリズム
    による環境保全の方法やエコツアーガイドの重要性に加え,エコツアー実施団体の取り組みについて地域環境ごとに論じられてきた.しかし,エコツアーに携わる地域住民の参画意識に着目した研究は乏しい現状がある.また,
    エコツーリズム
    の発展の可能性を検討する際,地域社会の自然や生活文化に着目するだけでは不十分であり,地域住民の利害関心と
    エコツーリズム
    推進地域の社会的な背景に着目することが必要である.加えて,観光現象が成立する上で不可欠な観光客への視点の欠如や,階層性を無視してひとまとめに地域住民としているといった指摘もあり,両者の視点に立った実証研究が求められる.
    本研究では,埼玉県飯能市を事例として,
    エコツーリズム推進の社会的背景や地域社会の特色とエコツアー実施者の参画意識を整理しながらエコツーリズム
    の抱える問題点と課題を考察する.
    調査は2014年から2015年にかけて,飯能市役所観光・
    エコツーリズム
    推進課,飯能市
    エコツーリズム
    推進協議会,エコツアー実施者に対して直接面接調査を行った.
    埼玉県飯能市は,面積の約76%を森林が占め,林業を中心としてきた歴史がある.近年では産業の衰退に加え,山間地域を中心とした少子高齢化や人口減少が問題視されている.こうした背景の中,飯能市の
    エコツーリズム
    は,2004年の「
    エコツーリズム
    推進モデル事業」に対して飯能・名栗地区として参画したことからはじまった.2005年には「飯能市
    エコツーリズム
    推進協議会」を設置し,
    エコツーリズム
    推進に関する会議やシンポジウムの開催,エコツアーガイドの養成を目的としたオープンカレッジを開始した.協議会は,学識経験者,農林業関係者,環境保全活動実施者,関係行政機関職員などで構成されており,飯能市における
    エコツーリズム
    の基本方針を定める役割を担っている.
    本研究では,エコツアーに携わる50人に対するアンケート調査および聞き取り調査を実施した.飯能市のエコツアーは参加料を徴収するものの収益はほとんど無く,ボランティア的な活動になっている.こうした状況に対し,エコツアー実施者の間で意識に差がみられた.
    人口が集中する東部と飯能市以外に居住するエコツアー実施者は,生きがいや自分自身の勉強のためにエコツアーに携わる割合が高い.このため,エコツアーがボランティア的な活動である事について約78%が肯定的である.しかし,環境保全費用の獲得が出来ない現状や,エコツアー実施者に若者が少ないことについて否定的なエコツアー実施者もいる.
      一方,中西部に居住するエコツアー実施者は,人口減少や少子高齢化が進行する現状に対する危機感が強く,エコツアーがボランティア的な活動である事について約92%は否定的である.つまり,同じ自治体内であっても,居住する地域の状況や個々の利害関心によって,
    エコツーリズム
    に対する考え方が異なるといえる.
  • エコツーリズム地域推進組織に対するアンケート調査とヒアリング調査の結果を踏まえて
    川崎 興太, 三部 和哉
    都市計画論文集
    2015年 50 巻 1 号 61-68
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、
    エコツーリズム
    地域推進組織に対するアンケート調査とヒアリング調査の結果を踏まえて、我が国における
    エコツーリズムとエコツーリズム
    地域推進組織の実態と問題点を体系的に明らかにすることを目的とするものである。本研究を通じて、(1)
    エコツーリズム
    地域推進組織は、行政からの経済的支援のもとに成立している小規模な任意組織が多い、地域の将来像を定めた全体構想または任意の構想・計画を作成する予定のない組織が少なくない、主な活動は関係者の連絡調整と広報活動であるが必ずしも将来像の実現に向けて行われているわけではない、(2)
    エコツーリズム
    を推進する上で、地域推進組織それ自体とガイドと環境に関する問題を抱えている地域が多い、(3)法制度に関しては、縦割り行政の解消や財政的支援の強化などが望まれていることが明らかになった。結論として、今後、我が国において
    エコツーリズム
    を推進する上では、多様な主体の連携による地域推進組織の設立と、その組織の構想・計画作成機能とマネージメント機能の発揮を可能にする制度的・財政的・人的な諸条件を整備・充実することが必要であることを指摘している。
  • *中岡 裕章
    日本地理学会発表要旨集
    2015年 2015s 巻 122
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/13
    会議録・要旨集 フリー
    エコツーリズム
    は途上国の自然保護を目的としてとしてはじまり、現在では先進諸国でも広く実践されている。日本でも、1990年ごろから全国の地方自治体で参画が進んでおり、第一次産業の衰退や少子高齢化が進行する地域では、
    エコツーリズム
    による地域活性化が期待されている。
    エコツーリズム
    は、自然地域の環境を保全しつつ、それを持続的に利用し、その利益を環境の保全と地域住民に還元することを目指すツーリズムとして広く認知されてきた。日本における
    エコツーリズム
    開発においても、はじめは小笠原諸島や知床などの原生的な自然が多く残存する地域の自然環境の保護を目的として行われてきた。しかし、日本の環境の多くは人間との関りのなかで保全されてきた二次的自然や文化的資源を保有するものである。そのため、日本の環境に適応した
    エコツーリズム
    のあり方が模索されている。
    本研究では、
    エコツーリズム
    を推進する地域の具体的な取り組みについてその実態を把握した上で、地域住民の参画意識や関り方の実態を整理しながら
    エコツーリズム
    推進による地域への影響について考察する。
    本研究対象地域として、埼玉県飯能市を選定した。飯能市は、面積の約76%を森林が占め、林業を中心としてきた歴史がある。近年では、そうした第一次産業の衰退に加え、高齢化や山間部における人口減少が問題視されており、早急な地域振興策が求められる地域である。こうした背景のなか、二次的自然や文化的資源を有する地域として
    エコツーリズム
    を推進してきた。また、
    エコツーリズム
    推進モデル事業への参画や、
    エコツーリズム
    推進法に基づく全体構想が初めて認定された地域であり、二次的自然や文化的資源を有する地域における
    エコツーリズム
    と地域住民の関わりについて考察する適地である。
    調査は、2014年5月から2015年1月にかけて、飯能市観光・
    エコツーリズム
    推進課、飯能市
    エコツーリズム
    推進協議会、エコツアー実施者に直接面接調査を実施した。分析にあたり、2004年度から2013年度の飯能市
    エコツーリズム
    推進事業報告書を主として使用した。
    飯能市では、林業の衰退とともに利用価値を失った森林などの二次的自然や、古くからの生活習慣や建造物といった文化的資源を活用した
    エコツーリズム
    を推進してきた。また、エコツアーはツアー実施者や実施団体が主体となって行われ、
    エコツーリズム
    の推進以降、エコツアー数・参加者数ともに増加傾向にある。こうしたエコツアーの実施者には高齢者が多く、飯能市内やその周辺地域に居住している。エコツアーを実施する目的は、生きがいやエコツアーへの興味、知識や経験の活用が主であり、換言すれば、経済的な利益を目的としたエコツアーの実施はあまり行われていないといえる。
    一方、参加者は女性の割合が高く、60代以上が約40%となっている。また、埼玉県内の参加者が70%を超えており、飯能市内の参加だけで40%近くを占めている。すなわち、飯能市のエコツアーは、実施者・参加者ともに近隣の地域に居住する人々を中心として行われているといえる。
  • *川浪 朋恵
    日本地理学会発表要旨集
    2009年 2009f 巻 P805
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/11
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに
     1980年代以降、世界的にマスツーリズムの生み出した負のインパクトへの反省から、弊害の多いマスツーリズムに代わって、「もう一つの観光(alternative tourism)」「やさしい観光(soft tourism)」「持続可能な観光(sustainable tourism)」などが模索されるようになった。そうした中で、具体的なあり方として世界的に注目され、各地で取り組みが行なわれているものの一つが、
    エコツーリズム
    である。
     
    エコツーリズム
    はその立場によって定義が異なり、万人から同意される普遍的なものは存在しないが、保全と利用の二側面が存在する。そして本来的には、今ある環境を保全し、その価値の劣化を防ぎつつも、旅行者や観光事業者、地元住民の利用機会を保護せねばならないということができる。しかし両者のバランスをとることはさまざまな利害関係の存在から非常に困難で、利用を重視する傾向が実践の場で強い。また、
    エコツーリズム
    には多様な関係者が関わっており、それぞれの
    エコツーリズム
    の捉え方が異なっていることも両立を困難にしている。
     そこで
    エコツーリズム
    が持続可能な観光としての性質を維持するために、多様な利害関係者それぞれが
    エコツーリズム
    をいかに捉え、実践しているのかを明確にする必要がある。特に旅行者は、可視化しにくい点などから重要な関係者であるにもかかわらず、地域内で軽視されてきた傾向にあるため、その
    エコツーリズム
    に対する捉え方、実践形態を明確にすることは、今後の
    エコツーリズム
    維持の基礎となりうると考える。
     以上のことから本報告では、小笠原諸島における
    エコツーリズム
    の特徴を主に旅行者の視点からフィールドワークを中心とする方法によって明らかにするとともに、その結果から将来的な小笠原諸島における
    エコツーリズム
    の変化とそれに対応する今後の管理計画の可能性について検討することを目的とする。

    研究方法
     そのための具体的な方法として、文献及び資料の収集、アンケート調査、聞き取り調査及び行動観察、データ分析の4点を柱として考える。まず、文献及び資料の収集に関しては、国内外の他地域における
    エコツーリズム
    の事例を比較検討するとともに、小笠原諸島に関する先行研究および各種調査報告書、観光に関する計画等を検討し、現在の
    エコツーリズム
    をめぐる問題の所在を明らかにする。次にアンケート調査は、小笠原諸島を訪問する旅行者を対象に実施する。また聞き取り調査及び行動観察に関しては、小笠原諸島において小笠原村役場や観光協会等の公的機関、旅行者、観光事業者、地域住民を対象に行い、一次資料を収集する。さらに以上の方法を基にしたデータ分析を行う。これは、アンケート調査・聞き取り調査・行動観察によって収集したデータを用い、旅行者の視点からの分析によって小笠原諸島の
    エコツーリズム
    の特徴を明らかにするものである。

    研究結果・考察
     以上の分析から、利用者の視点からみた小笠原諸島における
    エコツーリズム
    の特徴が明らかとなる。特筆すべきは、その季節性と旅行者の自然への意識への高さである。小笠原諸島における
    エコツーリズム
    は暦上の休みやそれに伴うおがさわら丸の運行状況、天候などの影響を受けやすいほか、小笠原諸島を訪問する旅行者はその環境に対する意識が高いことが明らかとなった。
     考察においては小笠原諸島において今後予想される
    エコツーリズム
    が、旅行者の視点から見てどのように変化するのか、またそれに対してどのように対処するのかの予測を含めて検討する。具体的には、旅行者の視点から見た
    エコツーリズム
    の変化や環境保護対策案の導入可否、改善項目の提示等を想定しており、小笠原諸島における
    エコツーリズム
    の将来的な管理計画に貢献するような検討を行う。

    参考文献
      一木重夫・海津ゆりえ 2006.小笠原諸島におけるエコツアーの満足度の評価に関する研究.小笠原研究年報.29: 37-51
      小林昭裕・愛甲哲也編 2008.『利用者の行動と体験』古今書院.
  • 王 立鴻, 丸山 直樹, 神崎 伸夫, 小金澤 正昭
    野生生物保護
    1999年 4 巻 2 号 93-101
    発行日: 1999/12/28
    公開日: 2017/10/06
    ジャーナル フリー
    A questionnaire survey was distributed to randomly selected tourists who visited Oze, Nikko National Park, during 13-15 July 1998. In total 391 responses were obtained. Tourists were asked questions to determine their attitude towards nature conservation, and their knowledge of nature, including the forests, flowers, mammals, birds, and insects. Even respondents who viewed controlling the number of tourists and charging an entrance fee to Oze positively, were in favor of the baths that are currently available to overnight guests which cause environmental pollution problems. In addition, most respondents had a poor knowledge of nature. If future tourists to Oze continue to hold such views and have little knowledge of nature, the characteristics which have made Oze a special protected area under the national park system may be degraded. Much stronger environmental education for the general public is essential and ecotourism should be considered as a new conservation tool to be introduced in Oze in order to promote the sustainable use of the environment.
  • 埼玉県飯能市を対象として
    外村 剛久, 宮下 清栄
    都市計画論文集
    2014年 49 巻 3 号 237-242
    発行日: 2014/10/25
    公開日: 2014/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では地域資源の保全に寄与する負担金の検討を行った。埼玉県飯能市を対象としてエコツアー参加者にアンケート調査を行った。CVMによりツアー参加者の支払意思額を推定するとともに、支払意思額に影響を与える要因を分析した。アンケートはエコツアーの参加者に配布し、123部のうち79通の有効回答票が得られた。推定の結果、一世帯あたりの支払意思額は1,492円であり、ツアー参加者全体で計算すると最大で約95万円であった。さらに要因を分析した結果、参加者年齢及びボランティアの参加意思で5%、
    エコツーリズム
    の認知度で1%の有意水準で統計的に有意な値が出た。
  • *増田 和央, 原 太智, 茅野 昭, 稲葉 敦
    日本LCA学会研究発表会講演要旨集
    2009年 2009 巻 P2-70
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/02/15
    会議録・要旨集 フリー
    近年、地域の自然や文化に触れることを目的とした
    エコツーリズム
    が盛んになって来ている。
    エコツーリズム
    はまた、地域の活性化にも役立つことが期待されている。一方で、運輸部門のCO2排出量が年々増加していることが指摘されており、旅行の際に使われる自動車や飛行機などの二酸化炭素排出量の削減が求められている。したがって、
    エコツーリズム
    と運輸部門のCO2排出量削減が調和する方策が必要である。
  • *中井 達郎
    日本地理学会発表要旨集
    2008年 2008s 巻 S705
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/07/19
    会議録・要旨集 フリー

     ジオツーリズムの中核に位置づけられるジオパークは,「保護,教育,持続的発展という総体的な観点から地質遺産を扱うある地理的な地域ないし空間」と定義されている(UNESCO,2007)。一方、
    エコツーリズム
    の定義については、それを提示する立場によって、ニュアンスが異なるが、自然環境保全の立場からの定義にも、観光業の立場からの定義にも、地域の自然と文化を損なわないこと、地域経済・社会への寄与することが、共通してあげられている。すなわち保護と利用の持続性を求めている。この点でジオツーリズムと
    エコツーリズム
    は基本的に共通するものであり、ジオツーリズムを
    エコツーリズム
    の中に位置づけることができる。すでに実施されている
    エコツーリズム
    あるいはエコツアーの中でも、地質遺産あるいは地学現象を対象としたものが行われている。このようなことから、先行して日本国内や世界各地で実施されている
    エコツーリズム
    の経験は、ジオツーリズムの推進やジオパークの設定の参考になるものと考える。
     本発表では、世界自然遺産地域を含むいくつかの事例を紹介し、
    エコツーリズム
    が現在抱えている課題を示し、ジオツーリズムの適正な発展のための情報を提供したい。また、オーストラリアで実施されている
    エコツーリズム
    認証制度の中から鍾乳洞ツアーに関するクライテリアを紹介する。
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