1920年代に立田山で初めて発見されたヤエクチナシは、現在、自生地では絶滅したと考えられている。一方、観賞や緑化、さらに保全を目的に自生個体に由来するクローンが各地で植栽されているが、各種害虫類から頻繁に加害を受けている。そこで、ヤエクチナシの利活用および保全に資する情報の集積を目的として、害虫類に関して文献調査と野外調査を実施した。文献調査では、既存の図鑑や論文等において、クチナシを加害する旨の記載のあった昆虫類とダニ類の情報に加え、各害虫の加害様式の情報を整理した。野外調査では、2022年5月中旬~12月初旬に、森林総合研究所九州支所立田山実験林内に植栽されているヤエクチナシおよびクチナシにおいて発見した害虫類を同定して記録した。文献調査の結果、チョウ目13種 (蛾類12種、蝶類1種)、カメムシ目22種、アザミウマ目4種およびダニ目1種の計40種の報告があった。また、野外調査の結果、チョウ目8種とカメムシ目1種の計9種が確認された。このうちの蛾類3種 (ゴマフリドクガ、オオトビスジエダシャクとテングイラガ属の一種) は文献に記録はなかった。将来的なヤエクチナシの利活用および保全に向けて、被害が顕著であった
熊本市にある立田山で発見されたヤエクチナシの適切な保全策を検討するため,ヤエクチナシとクチナシに対する
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