尿路のバイオフィルム感染症に対する治療法を検討する目的で,
カテーテル
留置難治性複雑性尿路感染症を対象として, azithromycin (AZM), ofloxacin (OFLX) の併用療法と, OFLXの単独療法の有効性および安全性を比較検討した。対象は尿道
カテーテル
(膀胱痩を含む) 留置複雑性尿路感染症で, 投与開始7日前に留置
カテーテル
を交換し抗菌剤を投与することなく観察, 同時に症例を登録した。投与開始日に留置
カテーテル
を交換した。薬剤投与は併用群: AZM500mg×1回/日, 3日間, OFLX200mg×3回/日, 7日間, 単独群: OFLX200mg×3回/日, 7日間とし, 8日目に再度
カテーテル
を交換した。観察項目として, 薬剤投与前後の尿沈渣・培養, 臨床検査に加え,
カテーテル
表面の電顕的観察を行った。総症例37例中, 解析対象症例は併用群15例, 単独群17例であった。有効率は主治医判定で併用群66.7%, 単独群47.1%, UTI薬効評価基準 (第3版) にもとつく総合臨床効果判定で併用群60.0%, 単独群41.2%であり, また細菌尿の陰性化は併用群53.3%, 単独群35.3%にみられた。細菌学的効果に関しては, 消失率は併用群191.2%, 単独群68.8%であった。併用群の1例に軽度の胃部不快感を認めた以外に問題となる随伴症状, 臨床検査値の異常変動は認められなかった。電顕観察によるバイオフィルム形成阻止効果でも併用群が優れている傾向がみられた。以上より,
カテーテル
留置難治性複雑性尿路感染症に対しAZM, OFLXの併用療法は有用な治療法であることが示唆された。
抄録全体を表示