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クエリ検索: "カバノキ属"
455件中 1-20の結果を表示しています
  • 吉川 昌伸, 鈴木 三男, 佐藤 雅俊, 小林 和貴, 長谷川 健, 吉川 純子, 戸田 博史
    植生史研究
    2021年 29 巻 2 号 37-52
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/10/12
    ジャーナル オープンアクセス
    ヤチカンバは東シベリアから中国東北部,北朝鮮に分布する
    カバノキ属
    の低木種で,北海道の 2 箇所の自生地は分布域の南限のひとつに当たり,氷河期の遺存種とされている。自生地の一つ,別海町西別湿原にヤチカンバがいつから生育していたのかを明らかにするため,1)北海道に自生する
    カバノキ属
    5 種の花粉形態を詳細に検討して,ヤチカンバの花粉を他の種から区別できる形質を探索し,2)その形質を用いて,堆積物中の
    カバノキ属
    花粉にヤチカンバ花粉が含まれるかどうかを経時的に調べた。
    カバノキ属
    5 種の花粉の赤道長(E),外孔長(EP),孔深度(PD)を測定し,赤道長 / 外孔長比(E/EP)と赤道長 / 孔深度比(E/PD)を求めた結果,ヤチカンバには E/EP 比と E/PD比が他の
    カバノキ属
    よりも大きな値になる花粉が存在することが明らかになった。西別湿原でハンドボーリングにより堆積物を採取し,テフラ分析および堆積物の 14C 年代測定を行った結果,堆積物は 6500 cal BP から現在までのものであることがわかった。各層準の堆積物には
    カバノキ属
    花粉が 4–34%含まれており,このうちの 7–50%がヤチカンバ以外の
    カバノキ属
    よりも E/EP 比の大きな花粉であることが明らかとなった。以上の結果から,西別湿原には 6500 cal BP 以降,現在までヤチカンバが継続して生育していた可能性が高いと考えられた。
  • 小川 滋之, 沖津 進
    植生学会誌
    2010年 27 巻 2 号 73-81
    発行日: 2010/12/25
    公開日: 2017/01/06
    ジャーナル フリー
      1. 東日本太平洋側の落葉広葉樹林において,カバノキ林は二次林とのみかたが一般的であったため,林分が形成される立地環境や維持機構についての研究は少なかった.そこで,ヤエガワカンバ,シラカンバ,ミズメの
    カバノキ属
    樹木3種の林分からこれらを検討した
      2. 埼玉県外秩父山地の高篠山北側斜面を調査地として,相観植生と
    カバノキ属
    樹木の個体分布の調査を行った.さらにカバノキ林と外秩父山地の主要植生となるコナラ林において,土壌と斜面傾斜の調査,毎木調査を行った.
      3. カバノキ林は,斜面中腹の地表攪乱に由来する土砂礫が堆積する区域にパッチ状に分布していた.コナラ林は,地表攪乱が無く腐植土が厚い平坦地を中心に広く分布していた.
      4. カバノキ林とコナラ林を比較すると,カバノキ林は
    カバノキ属
    樹木の優占度が12.3%から33.0%であり,コナラの優占度が低く,多様な樹種により構成されていた.コナラ林はコナラの優占度が60.0%以上となり,出現種数は少なかった.
      5 成長段階ごとの
    カバノキ属
    樹木の個体分布をみると,カバノキ林内では樹高12m以上の成木に個体が集中し,幼樹はみられなかった.稚樹や当年実生の分布をみても,成木の直下では少なく,カバノキ林と他の林分や人為的開放地との境界付近にみられた.
      6. カバノキ林の形成には,比較的近年に発生した斜面崩壊による地表攪乱が関与していることを指摘した.斜面崩壊により土砂礫が堆積する開放地が出現し,そこに先駆種である
    カバノキ属
    樹木がいち早く侵入することでカバノキ林が形成されたと考えられる.
      7. カバノキ林は,
    カバノキ属
    樹木の個体寿命より早い周期で地表攪乱が発生することにより維持されると考察した.
    カバノキ属
    樹木は,後継樹により林分内で順次更新しているわけではなく,地表攪乱による開放地の出現で一斉に更新している可能性が高い.地表攪乱については,高篠山では基盤岩の地形形成特性により数十年周期で斜面崩壊が発生している.斜面崩壊により開放地が出現するたびに,
    カバノキ属
    樹木は一斉に侵入して林分を形成していると考えられる.したがって,カバノキ林は将来にわたり維持されると結論付けた.
  • *小川 滋之
    日本地理学会発表要旨集
    2012年 2012s 巻 219
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/03/08
    会議録・要旨集 フリー
    研究の背景と目的:
    カバノキ属
    樹木は,街路樹や庭木などの園芸品種や建築資材,民芸品の材料として古くから人々の間で親しまれてきた.しかし,二次林要素や急峻な尾根や露岩地の林分要素とみられており,生育地の分布を規定する要因には不明な点が多い.本報告では,日本列島に分布する
    カバノキ属
    樹木の中でも,林分形態や種子特性,生育地タイプから代表的な4種(シラカンバBetula platyphylla ver. japonica,ヤエガワカンバB. davurica,ミズメB. grossa,オノオレカンバB. schmidtii)を選定し,生育地の分布要因を検討した. 調査地と方法:調査地は,
    カバノキ属
    樹木が多くみられる外秩父山地(埼玉県)を選定した.山地北部には三波川変成岩類(斜線の上端),山地南部では秩父帯中古生層が分布している(斜線の下端)(図1).調査は,
    カバノキ属
    樹木の生育地の分布調査と立地環境調査を行った.  結果と考察:
    カバノキ属
    樹木の生育地の分布は,3タイプに分けられた(図1).シラカンバとヤエガワカンバの生育地は,山地北部の三波川変成岩類地域,その中でも斜面上部の緩斜面に多かった.シラカンバは,秩父中古生層地域でもみられたが,生育地の分布頻度は低かった.一方,ミズメの生育地,オノオレカンバの生育地は秩父中古生層地域に集中していた.ミズメの生育地は,礫質土に多かった点ではシラカンバとヤエガワカンバに近似するが,斜面下部の急斜面でも多かった点では異なる.オノオレカンバの生育地は,他3種と共通点が少なく,ほとんどが尾根の露岩上に分布していた.このように地質や地形の特徴から,
    カバノキ属
    樹木の生育地は分けられた. この2つの地質特性としては,三波川変成岩類は地すべりが頻発することにより緩斜面を形成する特性が報告されており,秩父中古生層は急峻な尾根や急斜面を形成する特性が報告されている.
    カバノキ属
    樹木の生育地が形成される立地環境についても,既存研究で述べられている.シラカンバとヤエガワカンバは地すべりによる開放地の出現が,ミズメは開放地のほかに小規模な林冠ギャップの出現が,オノオレカンバは急峻な尾根の疎林の出現が関わることが報告されている. 以上のことから,地質分布によって
    カバノキ属
    樹木の分布が規定される背景には,地質特性の違いにより規定される地形形成が関わると結論した.
  • 津田 吉晃
    森林科学
    2018年 82 巻 36-39
    発行日: 2018/02/01
    公開日: 2018/03/23
    解説誌・一般情報誌 フリー
  • —冷温帯林の代表的先駆種であるシラカンバを例に—
    金野 絢香, 松木 佐和子
    樹木医学研究
    2016年 20 巻 2 号 89-90
    発行日: 2016/04/30
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー
  • *八坂 通泰, 小林 智, 竹内 伸治, 徳田 佐和子, 滝谷 美香, 大野 泰之
    日本森林学会大会発表データベース
    2009年 120 巻 A21
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/17
    会議録・要旨集 フリー
  • 五十嵐 八枝子, 五十嵐 恒夫
    日本生態学会誌
    1998年 48 巻 3 号 231-244
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2017/05/25
    ジャーナル フリー
    The Holocene vegetation history in south Sakhalin, east Asia, was reconstructed by means of pollen analysis and ^<14>C measurement for sediments obtained from four moors. Mixed forest composed mainly of Picea jezoensis and/or Picea glehnii, Abies sachalinensis, Betula and Alnus coexisting with Larix gmelinli, Pinus pumila, Quercus and Ulmus developed betwcen 〜4,600 yrBP and 300〜400 yrBP. The forest was characterised by the presence of L.gmelinii, which is the main component of the east Siberian conifer forest, and cool temperate trees such as Quercus and Ulmus. L. gmelinii increased in the moor at about 2,000 yrBP together with development of the highmoor. Quercus and Ulmus decreased markedly after 300-400 yrBP, and boreal forest of Picea, Abies, Larix, Pinus and Betula then flourished. An increase of coniferous trees occurred at 2,000 yrBP and 300-400 yrBP, and this was also recognized in the eastern part and the mountains of Hokkaido. This increase of conifers could have happened under cold climatic conditions. Tsuga pollen appeared between 3,000 and 3,800 yrBP in the moor along the Sea of Okhotsk. In Hokkaido, Tsuga pollen was also dated between 4,000 and 5,000 yrBP from the north and central coastal plain. Based on meteorological data from the northern limit of Tsuga diversifolia, Tsuga could become established along the Sea of Okhotsk coast of southern Sakhalin.
  • *加藤 朱音, 湯本 景将, 齊藤 陽子, Michael P Nobis, 津田 吉晃
    日本森林学会大会発表データベース
    2020年 131 巻 F2
    発行日: 2020/05/25
    公開日: 2020/07/27
    会議録・要旨集 フリー

    地球温暖化により森林樹木は水平方向(緯度・経度)あるいは垂直方向(標高)に分布移動すると考えられる。しかし、実際の分布移動動態のメカニズムは不明な点が多い。そこで本研究では温暖化影響評価のモデル樹種として冷温帯~亜高山帯の主要構成種であり、国内では約3000mの標高差で分布するダケカンバ(Betula ermanii)に着目し、現在の遺伝構造や過去の集団動態を明らかにすることを目的とした。まず四国~北海道の計55地点のダケカンバ集団を対象とし、18地点では標高別の集団も採取し、葉緑体DNAおよび核DNAの多型を用いて集団遺伝学的解析を行った。さらにこれらデータをユーラシア大陸の

    カバノキ属
    種を対象とした先行研究(Tsuda et al. 2017)とも統合し詳細に解析した。加えて移住率を考慮した種分布予測モデル(Nobis and Normand 2014)をさらに改変し、ダケカンバを含む複数の
    カバノキ属
    種について過去の分布復元および将来の気候変動下での分布を予測した。以上の結果を統合し、近縁種ウダイカンバ(B. maximowicziana)の先行研究(Tsuda et al. 2015)の再解析や結果の比較も踏まえ幅広い時空間スケールで
    カバノキ属
    種の歴史や今後の分布適応動態について議論する。

  • 前田 保夫
    第四紀研究
    1989年 27 巻 4 号 229-232
    発行日: 1989/03/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    Pollen fossils from late Paleolithic site deposits of the Kasuga-Nanokaichi area and the Itai-Teragadani area were analysed with drilling cores. The forest history of the last glacial age in the Tanba district of Hyogo Prefecture may be summarized as follows, based on the result of this work:
    50∼40ka ago: Temperate mixed forest (conifer trees dominant).
    40∼30ka ago: Temperate mixed forest.
    30∼25ka ago: Temperate mixed forest(broadleaved trees dominant).
    25∼20ka ago: Temperate mixed forest(conifer trees dominant).
    Samples from the deposits of 20∼17ka ago, which is regarded as the coldest time of the last glacial age, could not be obtained in this work. Neither subalpine forest nor warm temperate forest were be formed in these districts during the last glacial age, at least until 20∼17ka ago.
  • 飯島 大智, 佐藤 臨
    Bird Research
    2024年 20 巻 S19-S23
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/08
    ジャーナル 認証あり
    J-STAGE Data

    繁殖期にキマユムシクイPhylloscopus inornatusのさえずりを,2021年6月に乗鞍岳の森林限界で記録した.キマユムシクイは日本では旅鳥または稀な冬鳥として知られており,繁殖期の記録は今回が2例目である.キマユムシクイは

    カバノキ属
    やカラマツの林,ハイマツ低木林で繁殖することが知られており,日本の森林限界は
    カバノキ属
    の樹木であるダケカンバが優占し,ハイマツ低木林が隣接する.それゆえ,日本の山岳の高山域は,キマユムシクイが繁殖期に利用する上で好適な環境であることが示唆される.

  • *志知 幸治, 池田 重人, 安田 幸生
    日本森林学会大会発表データベース
    2011年 122 巻 Pa1-110
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/22
    会議録・要旨集 フリー
  • *鈴木 わか菜, 岡野 哲郎, 川崎 圭造
    日本森林学会大会発表データベース
    2006年 117 巻 PA41
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/03/15
    会議録・要旨集 フリー
  • *小川 滋之
    日本地理学会発表要旨集
    2010年 2010s 巻 302
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/10
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに:
     東日本太平洋側の落葉広葉樹林では,ミズナラ林やコナラ林などが中心となり,この中には
    カバノキ属
    樹木が多く混生する.しかし,
    カバノキ属
    樹木に対しては二次林要素とのみかたが一般的であったため,林分が形成される立地環境や維持機構の研究報告は少ない.そこで,太平洋側で多くみられるヤエガワカンバ,シラカンバ,ミズメの林分を対象に,これらの要因を検討した.対象としたカバノキ林の立地環境については,地表撹乱による林冠ギャップの形成が関わることが既存研究から推察された.そのため本研究は,地表撹乱による林冠ギャップの形成に着目し,カバノキ林が形成される立地環境や維持機構について検討した.

    調査地と方法:
     調査地域は,カバノキ林が多く分布する埼玉県の外秩父山地を選定した.ここは,変成岩類が基盤岩となり,風化すると粘土化する鉱物を多く含む基盤岩の性質から,地すべり地形が多い地域である.調査は,はじめに全体的な植生分布を明らかにするため,調査地域において植生分布の調査をおこなった.さらに,カバノキ林の立地環境と維持機構を明らかにするため,カバノキ林と主要植生となるコナラ林において表層土壌と斜面傾斜,毎木調査をおこなった.

    結果:
     カバノキ林は,コナラ林内などにパッチ状に分布していた.カバノキ林は,コナラ林より斜面傾斜がある区域に多く,礫の混入や腐植層と粘土層が互層になる区域に分布していた.地表撹乱に由来する土砂礫が堆積する区域と一致していた.いっぽう,コナラ林は緩斜面区域に広く分布しており,厚く腐植層が堆積していた.地表撹乱がない安定した土壌環境に分布していた.カバノキ林とコナラ林の林分を比較する.カバノキ林は出現種数が多く,林分は上層から下層まで幅広く個体の分布がみられた.コナラ林は出現種数が少なく,コナラが80.0%以上の優占度になっていた.林分は,上層にのみに偏る個体分布がみられた.どちらの林分でも樹高6m未満では,出現する個体はなかった.

    考察:
     カバノキ林の形成には地表撹乱が関与している.地表撹乱により根返りが起こり,適当な大きさの林冠ギャップが形成されると,
    カバノキ属
    樹木が侵入すると考えられる.地表撹乱の無い立地環境では,林冠ギャップは形成されにくいため,
    カバノキ属
    樹木の侵入は難しい.そして,林冠ギャップ内では様々な樹種が侵入するが,
    カバノキ属
    樹木は生長が早く個体サイズが大きいため優占できる.カバノキ林の維持機構を検討した結果,現状の林分は後継樹がないため,一代限りで消滅すると考えられた.しかし,基盤岩である変成岩類の性質から断続的に地表撹乱があり,林冠ギャップは形成され続ける.その林冠ギャップの出現に乗じて,新たに
    カバノキ属
    樹木が侵入することにより林分が形成される.したがって,調査地域周辺からカバノキ林が消滅することはなく,将来にわたり生育地を変えながら維持されると考えられる.
  • 加 三千宜, 吉川 周作, 井内 美郎
    日本地質学会学術大会講演要旨
    2001年 2001 巻 O-383
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2017/08/23
    会議録・要旨集 フリー
  • 山川 千代美, 此松 昌彦, 里口 保文, 八尋 克郎, 石田 志朗
    日本地質学会学術大会講演要旨
    2001年 2001 巻 O-382
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2017/08/23
    会議録・要旨集 フリー
  • *加藤 朱音, 湯本 景将, 相原 隆貴, 岩泉 正和, 磯田 圭哉, 高橋 誠, 生方 正俊, Michael P Nobis, 齊藤 陽子, 津田 吉晃
    日本森林学会大会発表データベース
    2021年 132 巻 F8
    発行日: 2021/05/24
    公開日: 2021/11/17
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では森林樹木の気候変動適応評価を目的に冷温帯~亜高山帯の先駆樹種であるダケカンバ(Betula ermanii)を主な対象として、水平および垂直方向の集団遺伝学的動態を推定した。四国から北海道まで計57山岳96集団954個体を対象とし、このうち19山岳では標高別に複数集団を採取し、葉緑体および核のDNAマーカーを用いて広域および地域内山岳の遺伝構造を評価した。さらに、遺伝データの集団動態解析および生物の移動能力を考慮した改変種分布モデル(Nobis & Normand 2014)などを用いて過去の時空間的集団動態史を推定した。比較対象として、国内の他の

    カバノキ属
    広域分布種であるウダイカンバ(B. maximowicziana)およびシラカンバ(B. platyphylla)でも同様の解析を行った。これらの結果、ダケカンバからは大きく北方と南方の2系統が検出され、19のうち11の山岳では標高とこれら2系統の混合率に有意な相関がみられた。特に中央アルプスの山岳では明確な遺伝構造が検出され、十万年オーダーの集団動態史も推定できた。また、
    カバノキ属
    3種は類似した分布域および生活史をもつものの、過去のレフュージア地域含めてその集団動態史は異なることがわかった。

  • 原 悠子, 伊藤 寛剛, 毛 巧芝, 渡辺 誠, 高木 健太郎, 佐藤 冬樹, 小池 孝良
    北方森林研究
    2013年 61 巻 41-42
    発行日: 2013/02/18
    公開日: 2018/04/04
    ジャーナル フリー
  • 後期中新世十勝幌加植物群と前期更新世タウシュベツ植物群
    成田 敦史, 乙幡 康之
    地質学雑誌
    2023年 129 巻 1 号 289-305
    発行日: 2023/04/06
    公開日: 2023/04/06
    ジャーナル フリー

    北海道中央東部の糠平湖周辺に分布する十勝幌加層とタウシュベツ層から大型植物化石群を得た(十勝幌加およびタウシュベツ植物群).当地域の層序と火山性堆積物の放射年代測定値から,タウシュベツ層は下部更新統に改められる.後期中新世の十勝幌加植物群は47分類群,前期更新世のタウシュベツ植物群は42分類群より構成され,両者ともに木本ではウダイカンバ類縁種を優占種とし,他のカバノキ科やカエデ属などの落葉広葉樹と常緑針葉樹を含む古植生を示す.両植物群では,含む分類群に相違も多いが,類似した相観の植生を示す.これは,両者が火山活動の影響や類似した湿潤冷温帯気候下で成立した可能性を示す.

  • 小川 滋之
    植生学会誌
    2022年 39 巻 2 号 77-84
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/10
    ジャーナル フリー

    1. オノオレカンバは

    カバノキ属
    の落葉広葉樹である.他の
    カバノキ属
    樹木とは種子形態や個体寿命など異なる特徴を有するが,これまで研究対象にされることが少なかった.

    2. 本研究では,埼玉県上武山地の城峯山天狗岩の急峻な尾根にみられるオノオレカンバ林が形成される立地条件と更新様式を考察した.

    3. 主要林冠構成種であるオノオレカンバとコナラ,ヤシャブシを対象に,傾斜角度と土壌厚の生育立地の計測,土壌の薄い場所と厚い場所におけるオノオレカンバ林の構造の調査を行った.

    4. 主要林冠構成種3種を比較すると,オノオレカンバは土層厚10 cm未満の緩傾斜地に,コナラは土層厚10 cm以上の緩傾斜地に,ヤシャブシは土層厚10 cm以上の急傾斜地に分布が偏った.オノオレカンバは,チャート岩による土壌の薄い場所において個体定着できる特性があること,この場所ではコナラなどの高木性樹木が分布しにくいこと,これらが関与することで林分を形成していると考えられた.

    5. 城峯山天狗岩のオノオレカンバ林は2つの更新様式がみられた.土壌の薄い場所では,構成種のほとんどが樹高10 m未満であり,主要林冠構成種であるコナラの相対優占度が低かった.林内でも後継樹が生育するのに十分な明るい林床が保たれ,幼樹から成木へと順次更新する様式により林分を維持していると考えられた.土壌の厚い場所では,樹高10 m以上に達する林冠構成種が多くみられ,コナラの相対優占度も高かった.林内では後継樹が生育していないことから,シラカンバなどの一斉更新のカバノキ林に近い様式がある.しかし,広範囲への散布に向かない種子の形態と生産量から,小林分や単木としてのみ分布していると考えられた.

    6. オノオレカンバは,急峻な尾根の落葉広葉樹林において土地的極相林を形成する樹種であると考察された.

  • 吉田 明弘, 吉木 岳哉
    地理学評論
    2008年 81 巻 4 号 228-237
    発行日: 2008/05/01
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    岩手県岩手山南東麓の春子谷地湿原において5地点のボーリングを行った. コア試料の14C年代測定およびテフラ分析, 花粉分析の結果から, この湿原周辺における約13,000年前以降の植生変遷および気候変化を検討した. この湿原は秋田駒柳沢テフラ (Ak-Y) の上に, 泥炭からなる湿原堆積物が堆積する. 湿原堆積物には, 下位より秋田駒堀切テフラ (Ak-HP), 十和田aテフラ (To-a), 岩手刈屋スコリア (Iw-KS) が挟在する. 湿原周辺では, 約13.4~13.0kaには
    カバノキ属
    の森林とコナラ亜属を主体とする冷温帯性落葉広葉樹林が分布し, 冷涼な気候であった. 約13.0~10.5kaには
    カバノキ属
    の森林から冷温帯性落葉広葉樹林となり, 次第に温暖化した. 約10.5~1.4kaにはコナラ亜属が優占する冷温帯性落葉広葉樹林となり, ほぼ現在と同様の温暖な気候になった. その後, 約1.4~0.2kaになるとスギ林が, 約0.2ka~現在にはアカマツ二次林やスギ植林が拡大した.
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