水田雑草の生物学的制御におけるアジア
カブトエビ
の除草効果について野外実験を行ない, つぎの結果をえた。
1) 雑草は10種類発生したが, その種類数は対照区では
カブトエビ
処理区の2倍に近かった。また, 各実験区に共通して発生した雑草を, 生育本数をもとに,
カブトエビ
の除草効果の高い順にあげると, アブノメ, ホソバヒメミソハギ, ミズキカシグサ, コナギ, ミズハコベの順であって, これらの雑草に対するアジア
カブトエビ
の除草効果は非常に顕著なものがあった。
2)
カブトエビ
は1m
2当り25個体を放飼したが, 20日後には約4分の1に減少し, 40日後には, 全処理区に僅か1個体が残存していた。
3)
カブトエビ
の有効活動期間は, 一般に自然状態のもとで発生するものより短期間と考えられ, 個体群密度も1m
2当り25個体と低かったにもかかわらず, きわめて除草効果が高かったことは,
カブトエビ
の除草機構が発芽初期における機械的なものであって, 田植後早期にやや大形の個体を放飼したことが関与しているものと考えられる。
4) 雑草害は対照区に顕著に発現したが,
カブトエビ
処理区には被害らしきものは認められず, 両区の水稲生育の間に有意な差があった。
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