飼料への油脂とシクロプロペノイド脂肪酸を含む
カポック
粕の添加が豚の脂肪性状に及ぼす影響について, 4ヵ月齢の子豚12頭を用いて調べた。大豆油添加量を3水準 (0, 5, 10%)とし,
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粕の添加量を2水準 (0, 5%) とした3×2要因配置の乱塊法によって試験を実施した。その結果の要旨は次のとおりである。検査したすべての脂肪蓄積部位 (背脂肪外層, 内層, 腎臓周囲脂肪) で油脂添加による影響がみられ, 油脂添加に伴って脂肪の融点が有意に低下し, 屈折率とヨウ素価が有意に上昇した。脂肪酸組成では, 油脂添加に伴ってC16:0, C18:0といった飽和脂肪酸含量が低下し, C18:2脂肪酸含量が上昇した。
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粕の添加は, すべての部位で融点を有意に上昇させたが, 屈折率, ヨウ素価にはあまり影響を与えなかった。脂肪酸組成では,
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粕の添加に伴い, すべての部位でC18:0含量とC18:0/C18:1比が有意に増加したが, C18:2含量は影響を受けなかった。油脂と
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粕添加による交互作用が融点及びC18:1含量でみられ, 油脂添加含量が高い飼料では
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粕の影響は少なかった。また, その影響は部位により異なっていた。以上の結果から,
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粕の軟脂防止効果は, 飼料の油脂含量によって影響され, その影響は体脂肪の蓄積部位によって異なることが示唆された。すなわち,
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粕の添加効果は飼料中の油脂含量が低い場合には特に腎臓周囲脂肪で顕著にみられたが, 飼料中の油脂含量が高まるにつれ, その効果は減少し, 特に背脂肪ではほとんど認められなくなった。
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