天然の
カマキリ
親魚を用いて採卵を行い, 得られたふ化仔魚を飼育して, 着底期までの仔稚魚の成長に伴う行動と形態の変化を観察した。その結果, 以下の知見が得られた。
1.自然産卵は1991年2月2日から4月2日までの60日間に13例が認められ, このうち9例の卵からふ化仔魚が得られた。卵はほぼ球形の沈性卵で黄色味を帯び, 卵径は1.70~1.81mmの範囲にあった。卵には粘着性があり, 産卵床である瓦の凹面に卵同十が付着し, 大きなものでは掌大の卵塊状となって観察された。
2.ふ化直後の仔魚は大きな卵黄嚢と1~数個の油球を有し, 全長は6.0~6.4mmの範囲にあった。ふ化後8日目 (全長7.1mm) にワムシを摂餌し始め, ふ化後41日目 (全長13.1mm) に遊泳層が表, 中層から底層に移行し, ふ化後50日目 (全長16.3mm) に着底が始まるなど行動に変化が認められた。ふ化後74日目 (全長21mm) に稚魚期に達した。
3.飼育した
カマキリ
仔稚魚の, 黒色素胞と棘の出現部位および形状の観察を行い, 天然仔稚魚との比較を行った。黒色素胞および棘が出現する魚体の大きさは, 飼育された仔稚魚と天然のそれとで異なっているものの,
カマキリ
仔稚魚に共通して認められる特徴的な形質であった。
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