【目的】アミノ・カルボニル反応によって生成する褐変反応生成物にはフリーラジカル消去活性があることが種々の加工食品において報告されている。また油系食品のポテトチップスにおいてもOHラジカル消去活性があると報告されている。そこで本研究ではポテトチップスから抽出した褐変反応生成物を分画し、各画分のDPPHラジカル消去活性を比較、さらにフライ調理時間による褐変反応生成物含量およびそのDPPHラジカル消去活性への影響について検討した。
【方法】ポテトチップスをn-ヘキサンで脱脂し、蒸留水を加えて得られた抽出液を限外ろ過(分子量20,000以上、20,000から3,000、3,000以下)で分画し、各画分を凍結乾燥した。その単位重量あたりの褐変度およびDPPHラジカル消去活性を測定。褐変度は420nmにおける吸光度を用いた。さらにSephadex LH-20ゲルろ過クロマトグラフィーによって分画し、得られた各画分のラジカル消去活性を測定した。またフライ時間を長くしたオーバークッキング試料を調製し、同様に抽出・分画・測定を実施した。
【結果】単位重量当り最も褐変度および活性の高かったのは分子量20,000から3,000の画分であった。また3,000以下画分で回収量が最も多く、全活性としては最も高い画分であった。さらに3,000以下画分をゲルろ過クロマトグラフィーによって分画したところ、低分子量域の褐変反応生成物に強いラジカル消去活性が確認された。またフライ調理時間を長くしたポテトチップスでは褐変反応生成物によるDPPHラジカル消去活性が増加した。
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