裸子植物は被子植物よりも葉緑体の酸素還元反応(メーラー反応)の能力が高い。酸素還元反応は、活性酸素消去系である水-水サイクルの入り口の反応として、光合成の光阻害回避の役割を担う。近年、酸素還元反応を触媒する酵素(フラボタンパク質Flv)が藍藻から単離され、酸素還元反応を遺伝子レベルで解析できるようになった。Flvタンパク質は、藍藻が変動光下(弱い光と強い光が交互に繰り返し照射される条件)で生育する際に機能する。我々は、ヒノキにおいて酸素還元反応が光合成の変動光耐性に寄与することを確認した。弱光(2 µE m
-2s
-1)の連続光に加えて強光(470 µE m
-2s
-1)のパルス光(1秒間)を繰り返し照射する変動光処理に対して、ヒノキはシロイヌナズナよりも光合成の耐性が高かった。スギESTデータベースを検索した結果、藍藻Flvをコードする遺伝子(
flv1)のホモログを見出すことができた。本研究では、スギ
flv1候補遺伝子の機能解析を目的として、藍藻Synechocystis pcc 6803の
flv1欠損株を作成した。針葉樹および藍藻における酸素還元能について議論する。
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