シバ (
Zoysia japonica Steud.) , バミューダグラス (
Cynodon dactylon Pers.) センチピードグラス (
Eremochloa ophiuroides Hack.) , セントオーガスチングラス (
Stenotaphrum secundatum O.Kuntze.) , ローズグラス (
Chloris gayana Kunth.) , パンゴラグラス (
Digitaria decumbens Stent.) 及び
キシュ
ウスズメノヒエ (
Paspalum distichum L.) のイネ科の7草種を供試し, 直立茎とほふく茎とについて比較し, 出葉速度及び形態について次に述べるような傾向を認めた。
1.ほふく茎における出葉速度は直立茎に較べ速く, 2.2~5.5倍の値を示した。また, バミューダグラス, ローズグラス及びパンゴラグラスではほふく茎における伸長速度も直立茎に較べ1.8~3.0倍の値が観察された。
2.ほふく茎の形態は種によって違いはあるが, 直立茎に較べ, 葉身長は短く, 葉幅は広く, 茎の太さは太い傾向が認められた。
3.直立茎における茎葉単位 (Sharman 1942) の発生過程は, その形態的特徴からみて, まず葉身が未分化で葉鞘と短い節間長をもった始原的茎葉単位から始まり, その種特有の形をもった葉身と長い節間長を有する完成された茎葉単位へ, さらに止葉をもつ茎単位から生殖器官を形成する茎葉単位へと漸次段階的に進行するが, センチピードグラス, パンゴラグラス及び
キシュ
ウスズメノヒエのほふく茎では, 茎葉単位の段階的発生過程が一時停滞し, 一定段階の茎葉単位の単純な繰り返しがみられた。また, シバ, バミューダグラス, ローズグラス, セントオーガスチングラスの4草種のほふく茎では, 発生過程のある段階から3~4段階逆方向への退化 (脱分化) が認められ, 再び発生段階を3~4段階進行した後, 再度脱分化するといった周期的繰り返しが認められた。
これらほふく茎における茎葉単位の分化過程の繰り返しの型に基づき, 本報告では供試材料におけるほふく茎の型の分類を試み, 4型に分類した。
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