いじめは自我形成過程における対人関係の未熟性の結果,集団内の地位の向上や支配権の確立・拡大を図って攻撃を道具的に用いることにより発生する,との視点を紹介した上で,学齢期の教育相談事例から対人トラブルを主訴とする事例を抽出し,問題のカテゴリー分類を通して自閉症スペクトラム障害 (ASD),注意欠陥/多動性障害(ADHD)を含む発達障害と,いじめの関係を検討した。1)対人トラブルに は攻撃の意図性が明確な道具的攻撃と衝動統制を背景とする反応性の攻撃があり,加害・被害双方の視点 から把握する必要がある。2)学齢期の攻撃行動には男女差が認められ,女子の関係性攻撃が特徴的である。 3)ASD 事例は意図理解の困難から攻撃の対象となりやすく,個別的配慮が重要である。4)ADHD 事例等による攻撃は承認欲求の表れの場合もあるが,ASD を含む多くの発達障害事例の加害行為は衝動統制の問題 とみることができる。
抄録無し
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