演者は、シカゴ大学小児集中治療部でのフェローとして米国の臨床現場で診療をする中でのクリニカルクエスチョンであった薬物反応の個人差をより理解するために、同時に所属したシカゴ大学臨床薬理・ファーマコ
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講座でのフェローシップにおいて、ファーマコ
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研究を臨床応用する1200 Patients Projectに参画し、ファーマコ
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をどのように実際の薬物治療に役立てていくかということを実体験した。当時、シカゴ大学はファーマコ
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の臨床応用を試みる世界でも数少ない施設の1つであったが、その後、欧米ではファーマコ
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の実臨床への応用は着実に進み、Clinical Pharmacogenetics Implementation Consortium (CPIC)のガイドラインを用いる病院のみでも世界各国から計53カ所 (米国、40;カナダ、2;欧州、8;オーストラリア、1;エジプト、1;中国、1) が登録されている。近い将来、この流れが日本にも訪れるであろうことは疑う余地もないが、現時点では日本の臨床現場においてファーマコ
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がどのくらい認知されているかという問題があり、またCPICから出されている26のガイドラインにおいても、アリル頻度が低いため日本人では使用できないもの、小児でのエビデンスが限られているものもあり、日本で臨床応用するための課題は山積しているのが現状であると考える。現在、理化学研究所生命医科学研究センター・ファーマコ
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研究チームでは、将来的に日本の小児医療現場でのファーマコ
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の臨床応用を実現するために、小児病院・大学小児科との共同研究も開始している。本シンポジウムでは、我々の研究と合わせて、小児におけるファーマコ
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の最新の知見と世界の動向も紹介したい。
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