リング精紡機を応用し, コアガイドを付設することにより, 多芯多層構造をもつ絹紡糸が作製できることを実証できた。多芯多層複合絹紡糸の力学的特性は,
コアフ
ィラメント本数の増加に依存することが認められた。多芯多層複合絹紡糸では, 各短繊維層中に分散挿入した
コアフ
ィラメントにより糸中の短繊維を部分的に結束することができるので, 多層構造絹紡糸に比べて糸強力が増加する。また, 多芯多層複合絹紡糸の太さむらのI指標, およびスペクトログラムには
コアフ
ィラメントの挿入と無関係に, 短繊維のドラフト現象が大きく影響を及ぼしているが, 多層構造絹紡糸に比べてI指標は減少する。このことより, 挿入したマルチ・
コアフ
ィラメントが糸作製時の短繊維束にかかる張力を負担し, 短繊維の異常ドラフトが阻止できることも分かった。
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