本研究では, 中山間地域におけるコミュニティ活力の向上に外部者の参入と関与が一つの有効な糸口を提供し得ることを, 特に, 小国町のケーススタディに即して実証した。その際, この種の外部者の重要性は単に頭数にあるのではなく, むしろそれぞれの「かけがえのなさ」や「個性・多様性」に裏付けられた地域社会への影響の質的側面に注目すべきであることを指摘した。これらの実証的な事実を踏まえて, 地域コミュニティの人々とコミュニケーションを維持し, 何らかの影響を与える外部参入者を「ハビタント」として, 一般的に概念化することを提唱した。この定義をあてはめることにより, 実証分析により確認された各々の外部参入者をハビタントと言い換えることができることを指摘した。その上で, ハビタント概念の明確化と分類について検討した。さらに, ハビタントの参入の促進を図る上で, 内部と外部の人・もの・金・情報の面でのチューニング・チャンネル機構の重要性とその機能的要件についても実証的分析を行った。最後に, ハビタント概念が中山間地域におけるコミュニティ活力の向上等を図る上で, 有効な観点を提供し得ることを明らかにした。
抄録全体を表示