野菜類の育苗期に発生し加害する
コナダニ
類について,1981∼1990年にかけて北海道内63地点で調査を行った。39地点の植物体,土壌,モミガラあるいは稲わらから
ケナガコナダニ
Tyrohagus putrescentiae (SCHRANK),
ホウレンソウケナガコナダニ
T. similis VOLGIN,
オオケナガコナダニ
T. perniciosus ZACHVATKIN,
オソアシブトコナダニ
Acarus immobilis GRIFFITHS,ロビンネダニ
Rhizoglyphus robini CLAPARÈDEが採集された。これらのうち
Tyrohagus属の3種が野菜類の苗に被害をあたえていた。
T. putrescentiaeはメロン,スイカ,キュウリ,カボチャを,
T. similisはメロン,スイカ,キュウリ,カボチャ,トマト,ピーマン,長ネギを,
T. perniciosusはメロン,キュウリ,カボチャを加害していた。
被害症状は以下のようにまとめられる。
a) メロン,キュウリ,カボチャ:新葉に小孔,小斑点ができ,その後,生育すると奇形になる。
b) スイカ,トマト,ピーマン:葉は光沢を帯び,褪色し奇形となる。
c) トマト,長ネギ:苗は萎縮し生育が止まる。キュウリでの
コナダニ
類の発生源は保温資材として利用されたモミガラであることが明らかになった。被害が発生した他のハウスでも育苗資材としてモミガラか稲わらが使用され,これらが
コナダニ
類の発生源になっていると考えられた。
なお,スジブトホコリダニ
Tarsonemus bilobatus SUSUKIはメロン,スイカ,キュウリおよびハクサイから採集され,これらに被害を与えていた。被害症状は葉が光沢を帯び,褪色し内側に巻きこみ奇形となる。
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