キュウリ果実の品質と数種化学成分におよぼす果実熟度,作型,貯蔵温度の影響にっいて調べた。1.キュウリ果実の収穫適期は限られており,大体,開花後7日-15日である。普通栽培の果実では,成熟に伴いアスコルビン酸やカーボニル化合含量は急減するが,抑制栽培のものでは成熟中ほとんど変化しなかった。2.抑制栽培のキュウリ果実では,全酸(主にリンゴ酸)や可溶性窒素化合物含量が他の栽培のものより多く,なかでもキュウリ果実の香気成分を含む低沸点カーボニル化合物が多いことがわかった。アスコルビン酸は普通栽培のもので多く,ガラス室と露地で栽培したものを比べても露地のもので多いことがわかった。しかし,露地のものは環境の影響を受け,化学成分に大きな変動がみられ,均一な品質のものが得がたいことを認めた。3.鮮度,風味劣化,低温障害発生の点から貯蔵適温は10-15℃であった。低温貯蔵した場合,抑制栽培キュウリで風味劣化がpittingが発生する前に生じた。そして,この時期にリノレン酸(C
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3)の低下や低沸点カーボニル化合物含量の増加,それにリポキシゲナーゼ活性の増大がみられた。
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