本研究は既存の主流eスポーツの枠組みに属さない任天堂世界大会のストリーミングを観察し、プロトタイプ理論に依拠して人々が〈本当のeスポーツ〉を正統化する過程を明らかにした。ビデオゲームで行う競技がeスポーツとして制度化される際には「ゲーム」「スポーツ」「メディアエンタテインメント」のフレームが存在し、タイトルごとに異なる側面が強調される。競技ゲーミングの諸要素をめぐり人々はマチズモ、アスレティシズム、エンジョイメントの価値観を軸に判断を下し、eスポーツの〈本当らしさ〉を社会的に構築していく。エンジョイメントは他の二つの価値観と違って非慣習的要素を許容するため、ゲームデザインと競技メカニクスを多様化させ、既存の〈本当のeスポーツ〉という概念を拡張してコミュニティの裾野を広げることで、新しいeスポーツ文化を創造し得る。
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