全身性エリテマトーデス(SLE)患者にみられる免疫異常の特徴は,自己抗体の出現と
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T細胞機能の減弱である.これらの異常を惹起する原因,ならびに両者の異常がいかなる関係に位置しているのかについては定かではないが,後者の欠陥はT細胞に対する自己抗体(抗T細胞抗体)の作用に基づく二次的な欠陥であるという考えが提唱されている.この仮説の妥当性を検討する目的で, SLE T細胞をT4細胞(インデューサー細胞)とT8細胞(
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・細胞障害性細胞)に細分画し,それぞれの調節T細胞機能を調べた.正常者の自己リンパ球混合培養反応では,自己非T細胞がまずT4ヘルパー細胞を活性化し,次いでT4
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細胞を活性化するが, SLE患者のT4細胞を自己非T細胞で刺激した場合には,ヘルパー活性のみが誘導され,
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活性については,これを全く誘導し得なかつた.このT4細胞による
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活性の欠如は,病期の活動性および抗T細胞自己抗体の有無にかかわらず認められた.一方, SLE抗T細胞抗体は, T4細胞に対して作用することなく,
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活性をもつT8細胞に対して選択的障害活性を示した.以上の成績は, T4
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T細胞の欠陥は, Bリンパ球非依存性で, SLEリンパ球に固有の欠陥であり,これに対して, T8
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T細胞の欠陥は, B細胞依存性,すなわち,抗T細胞抗体の作用に関連する欠陥であることを示している.
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