2021年6月にHACCP制度化が施行され, 食品事業者はHACCPを運用する段階に入っていると考えられる. 本研究では, 大手の総合食品メーカー10社を対象に品質保証に関する実態調査を実施した. その結果, 品質保証体制の構築や, 品質保証部門や関連の組織の役割に加えて, 品質マネジメントを機能させるためには, 企業全体のマネジメントシステムが必要であることが示唆された. 製造においては, HACCPだけでなくGFSI承認認証規格の導入が進められていた. フードサプライチェーンにおける原材料管理や出荷後のトレーサビリティ, また品質関連のリスクマネジメントに関する取り組みについての各社の知見や情報を得た. これらの調査によって, 品質保証関連の相関図を作成し, 食品事業者がHACCP制度化後に取り組むべきことの示唆を得ることができた. 本研究が国内の食品事業者の品質保証レベルの向上に寄与することを期待する.
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