ノッチ
シグナリング
は発生の段階において細胞の分化, 増殖, アポトーシスなどに重要な役割を果たしている. 近年, このノッチ
シグナリング
が炎症の病態に関与していることが報告されている. われわれは慢性炎症疾患である肥満, 動脈硬化症とノッチ
シグナリング
の関連について, マクロファージ選択的Notch3
シグナリング
トランスジェニックマウス (N3Tg) を用いて検討した. N3Tgマウスより分離された腹腔マクロファージはコントロールに比べ, 炎症性物質 (IL-1b, iNOS), スカベンジャーレセプター (CD36, SR-A) の発現が亢進, 脂質の取り込みが上昇していた. N3TgマウスをLDLレセプターKOマウスと交配し24週間高脂肪食を負荷した結果, 有意な動脈硬化巣の増加, 動脈の石灰化, 内臓脂肪の蓄積を認めた. 動脈硬化巣, 精巣周囲脂肪両者で, マクロファージの浸潤, 炎症性物質 (MCP-1, PAI-1) の発現増加を認めた. マクロファージ選択的ノッチ
シグナリング
の活性化は, マクロファージの泡沫化, 炎症の増悪に関与し, 動脈硬化症, 動脈石灰化, 内臓脂肪蓄積を引き起こす可能性が示唆された.
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