サトイモ葉柄における諸形質の遺伝特性を明らかにするため,日本の在来品種'水芋'とタイより導入した野生種'Tha-1' を用いて遺伝解析を行った.'水芋'と'Tha-1'の自殖第一世代は親品種よりシュウ酸カルシウム束晶細胞密度が低く,遺伝率は'水芋'で0.487,'Tha-1'で0.511と推定された.F
1,F
2世代の実生群の束晶細胞密度は連続した変異分布を示し,その平均値は両親のほぼ中間であった.F
2の変異分布はF
1よりも大きかった.したがって,サトイモ葉柄におけるシュウ酸カルシウム束晶細胞密度は,多因子遺伝形質と推定された.葉柄のアントシアニンの発現はS
1およびF
1, F
2世代の分離比から,単一主動遺伝子によって制御されると推定され,'水芋'はヘテロ,'Tha-1'は劣性ホモの遺伝子型が想定された.また,アントシアニンの量は多因子遺伝形質と推定された.葉身中央部の着色はS
1およびF
1, F
2世代の分離比から,単一主動遺伝子によって制御されると推定され,'水芋'はヘテロ,'Tha-1' は劣性ホモの遺伝子型が想定された.ストロンの発現はS
1およびF
1,F
2世代の分離比から,単一主動遺伝子によって制御されると推定され,'水芋'で劣性ホモ,'Tha-1' で優性ホモの遺伝子型が想定された.
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