床土のpHを上げないでケイ酸の供給が可能な資材として
シリカゲル
に着目し,苗質の向上(充実度,発根力),活着および初期生育の確保に対する
シリカゲル
の苗箱施用の効果について検討した。1)苗の乾物重,充実度およびケイ酸含有率は
シリカゲル
施用区で無施用区に比べて高くなった。苗質の向上する要因として,
シリカゲル
の施用によりケイ酸吸収量が高まり,気孔が開放してみかけの光合成速度が高まったことと,葉身の直立度の向上による光の透過率が高まったことがあげられる。2)せん根処理した苗の発根数および発根力は
シリカゲル
施用区で無施用区に比べて高くなった。苗の発根力が高まった理由としては,
シリカゲル
の施用により苗のみかけの光合成速度が高まり苗中のTAC含量が高まったことによると考えられた。 3)
シリカゲル
の施用が水稲の初期生育に及ぼす効果は茎数を確保するだけでなく,ケイ酸吸収量が多くなることからみかけの光合成速度の向上により乾物生産量が多くなり,1茎当たりの乾物重の大きい茎の確保につながっていると考えられた。4)以上より,
シリカゲル
の苗箱施用は,苗質の向上,水稲の初期茎数の確保および茎質の向上に対して,極めて有用な技術であることが認められた。苗質向上に対する効率的な
シリカゲル
の施用量は,1箱当たり250g程度であると考えられた。
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