めん羊の季節外繁殖における受胎率を向上させる目的で合成黄体ホルモンを含む膣内スポンジ (MAPスポンジ) と併用するPMSGの投与時期, および発情時における抗PMSGまたはGnRH注射の効果を検討した。使用しためん羊はサフォーク種で, 未経産羊34頭, 経産羊11頭の計45頭である。MAPスポンジ9日間膣深部挿入後除去時に750 IU・PMSGを投与した25頭をI群, MAPスポンジ除去の2日前にPMSGを投与した20頭をII群とした。そして, 発情発見時に生理食塩水 (対照区), 150μg GnRHまたは750 IU.PMSGに対応する抗PMSGを筋肉内注射し, 発情発見後9時間目に新鮮原精液で人工授精し齢受胎率は妊娠率および分娩率で表わし, 処置群間における成績を比較検討した。得られた結果は次のとおりである。
1) MAPスポンジ挿入期間中にスポンジを紛失した2頭を除き, 43頭が処置後5日以内に発情を示した。I群の25頭中22頭の発情はMAPスポンジ除去後18~42時間の範囲に集中しており, II群よりも艮好の発情同期化率であった。また, II群はI群よりも, 未経産羊は経産羊よりも発情の出現が早い傾向にあった。
2) 妊娠率および分娩率ともに, II群の方が高い成績 (I群 : ともに375%, II群 : ともに63.2%) であったが, 有意差は認められなかった。また, I群ではGnRHを投与した場合にのみ良好な受胎率 (62.5%) が得られたのに対して, 丑群では併用ホルモンの種類に関係なく対照区で71.4%, GnRH投与区で57.1%, そして抗PMSG投与区で600%と受胎率は良好であった。
3) 分娩後の経産羊を季節外繁殖に供するには少くとも, 50日以降過ぎていること, 生存子羊率は娩出子羊率に比べて低下した (1.33, 2.00) こと, から多胎妊娠雌羊の飼養管理が重要であることが示唆された。
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