本研究は国内外の環境指標・持続可能性に関する指標の構成を比較検討し,類型化を行うことによって,日本の地域環境指標の特徴を明らかにしたものである。 まず,国際機関,国,海外の自治体,日本の自治体に分け,環境テーマごとの採用率を求め,採用率の差の検定を行った。その結果,環境指標・持続可能性指標を作成した47の国際機関,国,自治体,NGOについて,60の環境テーマの採用率を比較したところ,日本は居住環境に関する環境テーマを採用する傾向が強く,社会環境に関してはあまり採用されていないことが明らかになった。また,環境テーマの採用パターンの類似性に着目して数量化III 類分析を行ったところ,Globa1-LocalおよびPhysical-Socialの2軸が抽出された。日本の地域環境指標は大部分が最もLoca1寄りのグループに位置しているが,近年日本で作成された指標はGloba1寄りにシフトしてきていることも明らかになった。さらに,環境フレームの構成比に基づき類型化したところ,日本の地域環境指標は1992年以前,状態・影響(SE)レベルの総合指標が多く採用されていたが,1992年以降,トータルとしての環境負荷を表わすための総合指標を開発した自治体と,施策レベルの個別指標を計画の数値目標として多数採用した自治体へと分化しつつあることが確認された。
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