(1) 昭和43年6月,千葉,茨城の
スイカ
主産地帯にモザイク症状が多発し,これら病株から1種のウイルスが分離された。このウイルスはキュウリ・緑斑モザイク・ウイルス(cucumber green mottle mosaic virus, CGMMV)と同定された。
(2)
スイカ
から分離されたCGMMVと昭和41年に西日本でキュウリから分離されたCGMMVとは,
Datura stramonium, Chenopodium amaranticolorに対する反応および沈降反応による血清反応で両者間に明らかな差異がみられた。
スイカから分離されたウイルスをスイカ
系,キュウリからのものをキュウリ系として区別することにした。
(3) 昭和43年7月以降千葉,茨城でモザイク病の発生したのとほぼ同じ地帯で主として果肉に激しいうるみを伴う俗称コンニャク病と呼ばれる肉質劣変症状が多発し,これらコンニャク病果の大部分のものからもCGMMV-
スイカ
系が分離された。
(4) 分離されたCGMMV-
スイカ系を健全スイカ
に接種したところ,まず葉にモザイクが現われ,ついで収穫期の果実には典型的な肉質劣変症状が確認された。
(5) 各地の
スイカ
のモザイク茎葉および果実のコンニャク病果からのCGMMVの分離試験を行なった。モザイク茎葉についてはその大部分のものからCGMMVが分離され,コンニャク病果については70点中51試料からCGMMVが,2試料からWMVが分離されたほか,ウイルスの分離されなかったものが17点あった。
(6) 上記(5)の試験とは別に山形の
スイカ栽培地におけるスイカ
の肉質劣変果について調べた結果,CGMMVのほかCMV, WMVが分離され,地域によってはCGMMVのほかにCMV, WMVが関係しているもののようである。これらCMV, WMVについての健全
スイカ
に接種しての再現実験はまだ行なっていない。
(7) 発生地帯において,その栽培に用いた種子の残り種子を集め,検定数は少ないがそれからのCGMMVの検出試験を行なった。
スイカ
種子からは検出できなかったが,台木用のユウガオからは6試料中4試料から検出された。なお栃木県一帯のユウガオのモザイク株からも高率にCGMMV-
スイカ
系が分離された。
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