疾病対策センターには, 1998年, 49の州とコロンビア特別区, およびプエルトリコ準州から, (人以外の) 動物について7, 961例, 人について1例の狂犬病の症例報告が届いている. これは, 前者で8, 509例, 後者で4例という1997年の報告数と比べると少ない. 動物の症例のうち, 92%以上 (7, 358例) は野生動物のもので, 7.5%以上 (603例) が家畜のものである (1997年は, 前者が93%, 後者が7%であった). 症例の減少は,
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とコウモリを除いて大半の種でみられる. 1998年について, 種別の症例数の内訳は次のようになっている: アライグマ (44.0%;3, 502例),
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(28.5%;2, 272例), コウモリ (12.5%;992例), キツネ (5.5%;435例), 猫 (3.5%;282例), 牛 (1.5%;116例), 犬 (1.5%;113例). アライグマの狂犬病については, オハイオ州における明確な西進は認められなかった. アライグマの狂犬病が風土病として流行している19の州のうちの12州と, コロンビア特別区では, 1998年について報告数の減少が認められる. なお, 1997年には13州とコロンビア特別区で報告数が増加していた. また, 3つの州では, 1997年の報告数を50%以上も上回る増加が報告されている: ロードアイランド州 (143.2%), マサチューセッツ州 (77.2%), ニューハンプシャー州 (69.4%). テキサス州では, 犬の狂犬病ウイルスと関係した狂犬病の症例数が大幅に減少し続けている. だが, 狂犬病の報告総数は, テキサスをはじめとする13州 (
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が狂犬病のおもな陸生宿主) で増加を示している. 国全体としては, 馬やラバの狂犬病は82例報告されている. これは, 1981年 (88例) より後では最多で, 1997年の総数に比べて74.5%の増加となっている. 1998年, コウモリの狂犬病の報告数は992例に達しているが, これは, コウモリの占める割合としては, 1990年以来最大といえる. 家畜の症例報告は, 猫 (282例) で6.0%, 犬 (113例) で10.3%, 牛 (116例) で4.9%減少している. 1998年に人で確認された1例は, 米国内でシルバーコウモリとアメリカトウブアブラコウモリに関係した狂犬病ウイルスに感染していた.
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