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クエリ検索: "ストリングス"
3,487件中 1-20の結果を表示しています
  • ストリングスのモデル化について
    *太田 映, 小池 関也
    日本体育学会大会予稿集
    2016年 67 巻
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/02/24
    会議録・要旨集 フリー

     バドミントンラケットは、フレーム部、

    ストリングス
    部、シャフト部、そしてグリップハンドル部から構成され、プレイヤーのスウィング動作により獲得されたフレーム部の速度および角速度によって、
    ストリングス
    を介してシャトルコックを打撃している。
    ストリングス
    部は、高張力の高分子材繊維状のひもが交差して張られており、打突の際に生じる
    ストリングス
    の伸縮はシャトルコックの飛び出し条件に影響を与えていることが考えられる。本報告は、このように伸縮変形を伴い、かつ交差して張られている
    ストリングス
    の挙動を模擬し、ラケットの他の部分の特性、あるいはグリップ部の握りの強さ等の各種条件が、シャトルコックの飛び出し状態に与える影響を定量化する際に必要となる
    ストリングス
    のモデル化について検討を行っている。具体的には、非線形ばね特性を有するひもとしてモデル化した
    ストリングス
    が横方向および縦方向に交差して構成する格子面に対して、その法線方向への強制変位を入力した際の、各格子点の変位および反作用力を推定する非線形方程式の解を求めることを試みている。

  • 粕渕 賢志, 唄 大輔, 藤田 浩之, 福本 貴彦
    理学療法学Supplement
    2012年 2011 巻
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/10
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに、目的】 近年、膝前十字靭帯(以下 ACL)の損傷予防を目的に、損傷のリスクが大きいジャンプ着地時の研究が行われている。神経筋コントロールの限界を補うものとして、前活動という機能がある。我々は片脚着地時において、内外側ハム
    ストリングス
    の前活動と着地時の膝屈曲角度の関係を調査したところ、筋活動ピーク時間が速いほど膝屈曲角度が大きくなることを第51回近畿理学療法学術大会にて報告した。しかし前活動と筋力の関係の報告はなく、筋力により前活動が変化するのかは不明である。また筋力トレーニングの適切な目標設定ができるように、膝関節の正常なハム
    ストリングス
    /大腿四頭筋トルク比(以下 HQ比)を決定する必要があると考えている。そこで本研究の目的は、内外側ハム
    ストリングス
    の前活動とHQ比に着目し、前活動が最も早くなるHQ比について調査することとした。【方法】 対象は大学バスケットボール部の健常女性12名とした。いずれの対象も下肢、腰部に整形外科疾患がなく、着地動作時に疼痛がない者とした。着地動作は高さ30cmの台から落下し着地するものとし、3回測定を行った。片脚着地動作に使用した脚は非利き脚とし、全員が左脚であった。前活動の測定には筋電図システムを用い、被験筋は左下肢の半腱様筋、大腿二頭筋とした。筋電図の解析はジャンプ着地する0.2秒前の期間で、筋活動がピークとなる時間を求めた。等速性筋力はSystem3 ver.3.33(Biodex Medical Systems)を使用し、角速度60 deg/s、180 deg/sにて左下肢の求心性膝伸展筋力と膝屈曲筋力を各3回測定し、体重補正した値を用いてHQ比を算出した。統計学的解析は、前活動ピーク時間とHQ比の直線と二次曲線の回帰式、ハム
    ストリングス
    筋力との相関を求め、危険率を0.05未満で有意とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は所属機関の研究倫理委員会の承認(H21-2)を得て行った。被験者に対し研究の説明を行い、同意を得た。【結果】 着地前0.2秒間の筋活動量がピークとなる時間は、内側ハム
    ストリングス
    40.6 ± 32.7ms前、外側ハム
    ストリングス
    31.3 ± 21.2ms前であった。HQ比は180 deg/sは0.74 ± 0.20であった。前活動ピーク時間と60 deg/s HQ比の回帰式は、直線と二次曲線とも有意な相関は得られなかった。180 deg/s HQ比では、内側ハム
    ストリングス
    は直線r = 0.640,p = 0.025、二次曲線r = 0.891,p = 0.001であり、外側ハム
    ストリングス
    は直線r = 0.565,p = 0.056、二次曲線r = 0.740,p = 0.028であった。前活動ピーク時間とハム
    ストリングス
    の筋力では有意な相関はなかった。【考察】 着地前の筋活動ピーク時間と180 deg/sのH/Q比に、内側ハム
    ストリングス
    で直線と二次曲線の正の相関が得られ、外側ハム
    ストリングス
    では二次曲線の正で相関が得られ、直線では正の相関が得られる傾向にあった。内側ハム
    ストリングス
    の前活動と180deg/sのHQ比に二次相関があり、前活動が最小値となるのはハム
    ストリングス
    と大腿四頭筋の筋力比が1.49対2のときであった。また一次相関において正の相関が得られたことから、大腿四頭筋の筋力に対してハム
    ストリングス
    の筋力が増強され、HQ比が1.49対2よりも大きくなると前活動は早くなると考えられる。また外側ハム
    ストリングス
    においても二次曲線に正の相関が得られ、前活動が最小値となるのはHQ比が1.47対2のときであった。しかし、直線では有意な正の相関は得られなかったが傾向は認められたため、外側ハム
    ストリングス
    においてもHQ比においてハム
    ストリングス
    が強くなるほど前活動が速くなる可能性が考えられる。よって、最適な筋力比は、着地前の筋活動ピーク時間から考えると1.49対2よりもハム
    ストリングス
    が強ければよいと考えられる。またハム
    ストリングス
    の筋力と前活動に相関が得られなかったことから、ハム
    ストリングス
    のみが向上するだけでは、前活動に影響しないのではないかと考えられる。これはACL損傷後や、損傷予防のための筋力トレーニングの指標とすることができるのではないかと考えられる。【理学療法学研究としての意義】 着地前の筋活動ピーク時間を早くするためには、HQ比に注目する必要があると示された。ACLの損傷予防のためにハム
    ストリングス
    の筋力強化を行うことは、ACLの張力を減弱させるということだけではなく、前活動を早めるという観点からも重要であるということが示唆された。
  • *百瀬 公人, 三和 真人, 赤塚 清矢, 伊橋 光二
    理学療法学Supplement
    2007年 2006 巻 67
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】正常歩行中の遊脚相における膝関節屈曲は、積極的なハム
    ストリングス
    の筋活動によるものではないと言われている。正常歩行中には遊脚相の後半でハム
    ストリングス
    の筋活動が認められるが前半には見られない。遊脚相の膝関節屈曲は、下肢全体が伸展している時に大腿部の屈曲が生じることにより下腿が二重振り子状態となりその結果屈曲すると報告されている。片麻痺患者ではハム
    ストリングス
    の単独収縮が困難なことや大腿四頭筋の筋緊張の亢進もあり、歩行中の膝関節屈曲は困難である。しかし、片麻痺患者でも二重振り子の作用を用いれば積極的なハム
    ストリングス
    の筋収縮を必要とせず、大腿四頭筋の筋緊張の調整を学習することで、遊脚相の膝屈曲が可能となることが示唆される。正常歩行中にはハム
    ストリングス
    の筋活動が遊脚相前半では見られないが、歩行速度が遅くなると二重振り子の働きが弱くなり、下腿を筋力で保持しなければならないと思われる。二重振り子の作用が有効に働く歩行速度以上であれば、片麻痺患者でもハム
    ストリングス
    の筋収縮を必要とせず下腿を屈曲することができ、遊脚時のクリアランスは十分にあることになると思われる。そこで今回の研究の目的は、健常者において歩行速度を変化させ、遊脚相のハム
    ストリングス
    の筋収縮状態から二重振り子を利用し始める歩行速度を明らかにすることである。
    【方法】被験者は健常な男性7名で、平均年齢20.0±0.5歳、平均身長170.7±2.7、平均体重642.4±6.2kgであった。歩行の計測には3次元動作解析装置と床反力計、表面電極による動作筋電図を用いた。3次元動作解析で得られたデータはコンピュータにて解析し、関節角度などを算出した。筋電図は内側広筋、大腿二頭筋長頭等より導出しバンドパス処理後、全波正流し、最大収縮時の積分値をもとに歩行時の筋活動を積分値の百分率として求めた。歩行はメトロノームにてケイデンスを規定し、ゆっくりとした歩行から速い歩行までを計測した。
    【結果】ハム
    ストリングス
    の筋活動はゆっくりとした歩行から速い歩行まで計測された全ての歩行で筋活動が見られ、筋活動がほとんど無い二重振り子の作用が明らかとなる歩行速度は求めることができなかった。
    【考察】いわゆる正常歩行ではハム
    ストリングス
    は遊脚相の後半で筋活動が認められる。今回の結果では、ハム
    ストリングス
    の筋活動は歩行速度に影響を受けなかった。歩行速度をケイデンスで規定しようとしたため、メトロノームに合わせることが歩行時のハム
    ストリングス
    の筋活動に影響したと考えられる。今後は歩行速度を厳格に規定しない方法での研究が必要であると思われた。
    【まとめ】歩行速度がハム
    ストリングス
    の筋活動に与える効果について、3次元動作解析と筋電図を用いて解析した。ケイデンスを規定するとハム
    ストリングス
    の活動は速度による影響をあまり受けなかった。
  • 腰椎-骨盤アライメントの変化に着目して
    *野崎 壮
    九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
    2005年 2005 巻
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/08/01
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】
     腰椎分離症に対し、過度の前彎を有する腰椎-骨盤アライメントの改善を目的とした理学療法が広く行われ、筋力強化、ストレッチが主体となっている。当院においても同様の指導を行い、症状の改善を得ている。指導の中にハム
    ストリングス
    のストレッチが挙げられるが、腰椎-骨盤アライメントが前彎位にあれば、ハム
    ストリングス
    は伸張位にあるため、症状改善とハム
    ストリングス
    ストレッチの有効性との関連に疑問を感じる。今回、腰椎分離症に対するハム
    ストリングス
    ストレッチの有効性を検討するため、症状の改善に伴う腰椎‐骨盤アライメントの変化とハム
    ストリングス
    柔軟性との関連を考察した。
    【対象】
     当院受診にて第5腰椎分離症と診断されたスポーツ競技者12名(男性6名、女性6名、年齢13‐19歳、平均14.8歳)。
    【方法】
     ハム
    ストリングス
    柔軟性の評価として左右Straight Leg Raising(以下SLR)角度、X-rayにて腰仙角、仙骨角、腰椎前彎指数の計測を行い、初期と最終(初診時より2‐6ヶ月)で比較し、Spearmanの順位相関にて検定を行う。
    【結果】
     1 )各項目の平均値は、左SLR:初期77.1°(最低60°最大95°)最終84.1°(最低65°最大105°)右SLR:初期77.5°(最低60°最大95°)最終83.3°(最低70°最大105°)腰仙角:初期140.8°最終148.3°仙骨角:初期39.2°最終31.2°腰椎前彎指数:初期1.4cm 最終1.1cm。2 )SLR角度との相関は、腰仙角初期と右SLR角度初期、仙骨角最終と右SLR最終にのみ認められた(p<0.05)。
    【考察】
     過度の腰椎前彎、骨盤前傾角度を有する腰椎分離症に対し、腰椎-骨盤アライメントの改善を目的として筋力強化、ストレッチを中心とした理学療法が広く行われている。今回、それらを中心とした理学療法によりハム
    ストリングス
    柔軟性の増加、腰仙角の増加、仙骨角の減少、腰椎前彎指数の減少が見られ、指導内容は妥当と思われる。
     これらのアライメント変化とハム
    ストリングス
    柔軟性との関連を見ると、相関関係を認めたものは少なく、腰椎‐骨盤アライメントの改善にハム
    ストリングス
    柔軟性は関与しないことが示唆された。腰椎前彎を増大させる要因として腸腰筋、腰背部筋群の短縮、腹筋群の筋力低下が考えられ、症状改善には短縮位にある筋群のストレッチ、筋力低下を示す筋群の強化が必要であることは明確である。疼痛が著明である初期のSLR角度に60°から95°と大きな幅があるということは、全ての腰椎分離症患者がハム
    ストリングス
    柔軟性の低下を有しているとは言えず、ハム
    ストリングス
    に短縮が認められる者に対してのストレッチは当然だが、短縮が認められない者に対しては筋力強化を行っていくことが、早期の競技復帰、パフォーマンス向上につながるのではないだろうか。
  • 競泳・陸上短距離選手に着目して
    *上野 薫, 石川 昌紀, 佐野 加奈絵, 国正 陽子, 牧野 晃宗
    日本体育学会大会予稿集
    2017年 68 巻
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/15
    会議録・要旨集 フリー

     大腿二頭筋と半腱・半膜様筋からなるハム

    ストリングス
    筋群の形態や機能的特徴については、十分に検討されていない。本研究では、ハム
    ストリングス
    筋群の筋形態における競技種目間の違いや競技力との関係について明らかにし、競泳選手と陸上短距離選手のハム
    ストリングス筋群の遠位から近位にかけてのハムストリングス
    筋群の筋の太さについて明らかにすることを目的とした。

     被験者は男子陸上短距離選手15名(IAAFスコア945.7±81.9)、男子競泳選手15名(FINAスコア685.6±51.6)と一般男性をコントロール群とした。測定は、超音波装置を用いて、右大腿部の各筋の短軸画像を撮像し各筋横断面積(CSA)を算出した。各測定部位CSAの比較では、競泳群より陸上群が有意に大きい値を示し、競技力と各測定部位CSAの関係では、競泳群では、遠位部のCSAと競技力に関係が認められ、陸上群では、競技力が高い選手ほど半腱様筋近位部のCSAが大きい傾向にあった。陸上短距離選手と競泳選手の競技力にそれぞれ関係する特徴的な筋の形態的特徴が確認された。

  • 浮田 遥草, 木藤 伸宏
    理学療法学Supplement
    2015年 2014 巻 O-0183
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/30
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】二関節筋は単関節筋と異なった特異的作用を有することが報告されている。そのため,二関節筋の機能を改善する際に,収縮力のみならず収縮様式や筋の長さ変化を考慮する必要がある。下肢の代表的な二関節筋である大腿直筋とハム
    ストリングス
    のエクササイズとしてスクワットがある。スクワット動作中の骨盤アライメントの変化が2関節筋の筋活動に及ぼす影響は報告されているが,筋の長さに及ぼす影響については報告されていない。そこで本研究の目的は,骨盤前傾位と後傾位でスクワット動作を行った際の大腿直筋とハム
    ストリングス
    の長さの変化について三次元動作解析機を用いて明らかにすることとした。【方法】被験者は下肢の手術の既往がなく踵部を挙上せずスクワット動作可能な男性10名(年齢18~23歳,20.5±1.58歳)とした。課題動作である骨盤前傾位スクワットと後傾位スクワットを5回ずつ3セット行った。スクワット中の運動力学データは赤外線反射マーカーを臨床歩行分析研究会の推奨する方法を参考に身体各標点に貼付し,赤外線カメラ8台を用いた三次元動作解析装置VICON MX(Vicon Motion Systems社製,Oxford)を用いて関節角度,大腿直筋全長,大腿直筋遠位部長,大腿直筋近位部長,ハム
    ストリングス
    全長,ハム
    ストリングス
    遠位部長,ハム
    ストリングス
    近位部長を以下の方法で算出した。上前腸骨棘に貼付したマーカーと膝蓋骨上面に貼付したマーカーとの距離を求め,これを大腿直筋全長の近似値とした。次に大転子に貼付したマーカーと大腿骨外側上顆に貼付したマーカーを直線で結び,その直線の中点を大腿骨中点とした。中点から上前腸骨棘に貼付したマーカーと膝蓋骨上面に貼付したマーカーを結んだ線に対して垂線を引き,その交点を求めた。交点から上前腸骨棘に貼付したマーカーまでの距離を大腿直筋近位部長,交点から膝蓋骨上面に貼付したマーカーまでの距離を大腿直筋遠位部長とした。ハム
    ストリングス
    の長さは,坐骨結節に貼付したマーカーと腓骨頭に貼付したマーカーとの距離を求め,これをハム
    ストリングス
    全長の近似値とした。大腿骨中点から坐骨結節と貼付したマーカーと腓骨頭に貼付したマーカーを結んだ線に対して垂線を引き,その交点を求めた。交点から坐骨結節に貼付したマーカーまでの距離をハム
    ストリングス
    近位部長,交点から腓骨頭に貼付したマーカーまでの距離をハム
    ストリングス
    遠位部長とした。スクワット動作での伸展から屈曲運動中膝関節屈曲15°,30°,45°,60°の大腿直筋とハム
    ストリングス
    の長さを算出した。筋の長さは被験者の身長(mm)で補正を行った。骨盤肢位と膝関節屈曲角度を要因として2元配置の分散分析を用いた。その後の検定は,Tukey法を用いた。また,骨盤肢位の違いによる比較はT検定を用いて行いp<0.05をもって有意差とした。【結果】大腿直筋全長は後傾位と比較して膝関節屈曲15°,30°,45°,60°全てにおいて前傾位で有意に短くなった(22.9,21.9,20.8,19.6,p<0.0001)。ハム
    ストリングス
    全長は後傾位と比較して膝関節屈曲15°,30°,45°,60°全てにおいて前傾位で有意に長くなった(23.7,24.3,24.6,24.8,p<0.0001)。大腿直筋近位部長は骨盤後傾位と比較して膝関節屈曲15°,30°,45°,60°全てにおいて,前傾位で有意に短くなった(13.7,12.6,11.3,9.8,p<0.0001)。ハム
    ストリングス
    近位部長は骨盤後傾位と比較して膝関節屈曲15°,30°,45°,60°全てにおいて前傾位で長くなった(11.5,12.4,13.3,14.1,p<0.0001)。【考察】本研究は骨盤前傾スクワットにおいて大腿直筋は短くなり,ハムストリグスは長くなった。骨盤後傾スクワットは骨盤前傾スクワットに比べて,大腿直筋とハム
    ストリングス
    の長さの変化が乏しかった。熊本らは二関節筋がうまく機能すると本来,両端の一方では求心性収縮を行い,他方では遠心性収縮を起こして運動制御すると報告している。このことは,骨盤前傾スクワットにおいて大腿直筋およびハム
    ストリングス
    の起始部と停止部で長さの変化様式が異なっているという本研究の結果を反映している。【理学療法学研究としての意義】スクワット動作中に骨盤アライメントを変化させることは,筋の長さを意識した特異的トレーニングになる可能性を示唆した。
  • 黒澤 智視, 高徳 昭彦, 野澤 洋平, 川合 直美, 金子 操
    理学療法とちぎ
    2021年 10 巻 1 号 21-25
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    [はじめに]一定の運動学的条件を満たすと,ハム

    ストリングス
    が膝伸展作用を有することが先行研究で示されている.これら条件に着目した介入により,膝伸展動作の代償で起立動作が可能となった症例を経験した.[症例紹介]皮膚筋炎,交通外傷による大腿の皮膚移植が既往にある60 代女性で,蜂窩織炎で入院となった.大腿四頭筋の筋力が特に低下していた.[経過]起立時の膝伸展動作をハム
    ストリングス
    で代償することで,移乗動作の介助量が軽減し,ADL が向上した.[結論]両側の大腿四頭筋の筋力の著明な低下に対し,ハム
    ストリングス
    の膝伸展作用を生かし,起立動作が改善した.

  • 藤田 菜摘, 完山 花菜, 好井 直輝, 清原 直幸, 金岡 翼, 中道 哲朗, 鈴木 俊明
    関西理学療法
    2017年 17 巻 175-179
    発行日: 2017年
    公開日: 2022/02/05
    ジャーナル フリー

    Physical therapy was performed for a patient with left hemiplegia following cerebral infarction. The patient had difficulty extending the thoracic and lumbar spine after bending forward when moving to stand up. Difficulty with thoracic spinal flexion appeared to be due to increased longis-simus thoracis tone. Moreover, decreased left gluteus maximus tone prevented braking of anterior thoracic flexion. Accordingly, physical therapy was performed for the left gluteus maximus and thoracic and lumbar spinal muscles. As a result, muscle tone increased in the lower fibers of the left gluteus maximus, and braking of anterior thoracic flexion recovered as left hip joint flexion improved, enabling the patient to stand up with less difficulty.

  • *川村 博文, 鶴見 隆正, 辻下 守弘, 岡崎 大資, 甲田 宗嗣
    理学療法学Supplement
    2003年 2002 巻 OO493
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/03/19
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】通常、経皮的電気刺激(以下TENS)は鎮痛効果を主な一次的効果とし臨床現場で応用が行われてきた。一方、TENSの二次的効果には筋緊張緩和効果が臨床経験的に考えられている。本研究ではTENSの二次的効果の筋緊張緩和効果と徒手的療法の一次的効果の筋緊張抑制効果との比較を行ないTENSの二次的効果の活用方法を検討したので報告する。【対象・方法】対象は健常成人10例(男10)、平均年齢32.9±12.0歳とした。ハム
    ストリングス
    に対するTENSの実施方法はPerottoの方法に従い右大腿二頭筋長頭と半腱様筋に刺激を行った。本刺激部位はほぼモーターポイントに相当していた。刺激装置はパルスキュアー KR-6(OG技研)を用いた。刺激条件は周波数25Hz、スパイク波、パルス幅250μsec、刺激時間2sec、休止時間1sec、刺激電流強度30mAから70mA、治療時間2分間とした。ハム
    ストリングス
    の筋緊張に基づく最大Straight Leg Raising(以下SLR)角度はTENS前・後で測定した。ハム
    ストリングス
    の筋粘性は最大SLR角度の直前角度(5度あるいは10度前に規定)で徒手筋力測定器マスキュレーターGT-10(OG技研)を用いて外果レベルのアキレス腱部で測定した抵抗値とした。最大SLR角度の直前角度では主観的な快適度をVisual Analogue Scale(以下VAS)を用いて測定した。0点は最高に不快で、10点は最高に快適とした。ハム
    ストリングス
    の直上の皮膚温はDigital Thermometer(UNIQUE MEDICAL)のセンサーを貼付し測定した。ハム
    ストリングス
    の直上の皮膚血流量はLASER Flowmeter(ADVANCE K.K)のセンサーを貼付し測定した。比較検討する徒手的療法にはホールド・リラックス(以下ホールド)と持続伸張(以下持続)を用いた。ハム
    ストリングス
    に対するホールドは最大収縮10秒間、リラクセーション10秒間の6セットで合計2分間実施した。ハム
    ストリングス
    に対する持続は30秒間伸張、休息10秒間の3セットで合計2分間実施した。3種類の治療は各10分の休息を入れ無作為に実施した。統計処理は正規化した後、一元配置分散分析法を用い、Post-hoc testはFisherのPLSD法にて行ない、有意水準は5%未満とした。【結果・考察】最大SLR角度はTENS前と比べTENS後が一番大きくなり、次にホールド後、持続後の順であり有意差があった。ハム
    ストリングス
    の筋粘性はTENS前と比べTENS後が一番に減少し、次にホールド後、持続後の順であり有意差があった。最大SLR角度の直前角度でのVASはTENS前3.7と比べTENS後が6.1(1.6倍)と大きくなりより快適であり、次にホールド後が4.8(1.3倍)の順であり有意差があった。皮膚温、皮膚血流量は変化が認められなかった。TENSの二次的効果である筋緊張緩和効果に基づく関節可動域改善効果及び筋粘性減少効果は大きく、積極的に応用することが有用である。
  • 中俣 修, 堀川 博代, 池田 由美, 岩崎 健次, 竹井 仁, 新田 收, 金子 誠喜, 柳澤 健
    東京保健科学学会誌
    1998年 1 巻 1 号 63-65
    発行日: 1998/12/18
    公開日: 2017/10/27
    ジャーナル フリー
    本研究は、骨盤および非検査側下肢固定(以下、固定)が、伸展下肢挙上テスト(straight-leg-raising test:SLR)の測定角度(以下、SLR角)に及ぼす影響を明らかにする事を目的とした。健常男性11名を対象とし固定の有無によるSLR角の相違を比較した。水平線と下腿および骨盤のなす角度(以下、SLR角・水平線、骨盤角・水平線)を測定し、SLR最終域でのSLR角・水平線、最終域までに生じた骨盤角・水平線の角度変化量(以下、骨盤角変化量)、最終域のSLR角・水平線から骨盤角・水平線を引いた骨盤に対する下腿のなす角度(以下、SLR角・骨盤)を算出した。SLR角・骨盤には固定による影響を認めなかったが、SLR角・水平線、骨盤角変化量は非固定測定で大きな値を示した。臨床測定では固定を行い骨盤運動の加わるSLR角の測定となることを防ぐことが重要である。
  • *大迫 信哉, 山下 導人, 肝付 慎一, 岸本 浩
    理学療法学Supplement
    2004年 2003 巻 98
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/04/23
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】歩行における筋活動のうち、大腿四頭筋は推進筋、ハム
    ストリングス
    は抑制筋として認識されている。また両者は一定の活動比率を呈すると予測される。今回膝疾患のうち変形性膝関節症の保存例(以下OA群)と、人工例(以下TKA群)での歩行調査をする上で、大腿四頭筋・ハム
    ストリングス
    の筋出力を、正常群、OA群、TKA群の3群に分け、それぞれの大腿四頭筋・ハム
    ストリングス
    比(以下HQ比)を計測、歩行と大腿四頭筋・ハム
    ストリングス
    の筋出力を調査し、その結果を報告する。
    【対象・方法】対象は全て女性。正常群10例20膝平均年齢29.8歳。OA群10例20膝平均年齢73.5歳。TKA群10例20膝平均年齢72歳。筋力は日本メディックス社製PowerTrack IIを用いて、大腿四頭筋は端坐位にて膝屈曲90°、ハム
    ストリングス
    は腹臥位にて膝屈曲90°で双方ともIsometricにて計測。各々2回ずつ測った平均値を筋力とし、その平均値の比をHQ比とした。また歩行スピード・歩数共に10mを2回測定し、その平均を値とした。
    【結果】1)HQ比:健常群1.9±0.46、OA群1.86±0.53、TKA群1.97±0.69。全てに対して有意差無し。2)歩行スピード(m/s):健常群2.08±0.9、OA群1.24±1.7、TKA群1.13±4.1。OA群、TKA群間では差はなく、他群間では有意差がみられた(p<0.05)。3)歩数:正常群12.95±1.25、OA群17.29±2.11、TKA群18.58±6.81。OA群、TKA群間では差はなく、他群間では有意差がみられた(p<0.01)。4)大腿四頭筋(Nm):健常群65.5±14、OA群43.3±7.8、TKA群42.5±14.7 。OA群、TKA群間では差はなく、他群間では有意差がみられた(p<0.01)。5)ハム
    ストリングス
    (Nm):健常群34.5±4.4、OA群22.8±6.1、TKA群23.4±3.1 。OA群、TKA群間では差はなく、他群間では有意差がみられた(p<0.01)。
    【考察】今回正常群、OA群、TKA群のHQ比の関連性について調査した。筋力についてはOA群TKA群間に差なく、他群間に有意差がみられ、HQ比は有意差がなかった。前川等によるとOA群とTKA群間では、術直後の一時的な比率の低下がみられるものの、その後はOA群とほぼ同程度の比率になると述べている。このことから膝の疾患別に関係なくHQ比はほぼ近い値になることが推測される。小野澤等によるとOA群の遅い歩行はハム
    ストリングス
    が働き、大腿四頭筋が若干衰えるが、速くなると大腿四頭筋の筋力が有意に強くなると述べている。そしてHQ比も歩行時に速度が上がるほど値が大きくなるとしている。今回の結果では歩行スピード、歩数ではHQ比との関連性は少なく筋力との関係だけ認めた。今後はさらに症例数を増やし検討していきたい。
  • *久保 秀一, 畠中 泰彦, 松井 知之, 長谷 斉, 村田 博昭, 久保 俊一
    理学療法学Supplement
    2005年 2004 巻 18
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/04/27
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】大腿軟部腫瘍患者の腫瘍摘出術後の歩行能力は、前面であれば大腿四頭筋の有無、後面であれば坐骨神経の温存状態により大きく左右される。歩容では四頭筋部分切除患者は立脚期に困難を示し一見し異常に気づくがハム
    ストリングス
    のみ切除した患者の場合正常歩行と見分けがつかない。しかし、「歩けるが走れない」と言った訴えを聞く。
    そこで、われわれは「走れない」ことに着目し、ハム
    ストリングス
    を切除した患者の自由歩行,早歩き,ジョグにおいてハム
    ストリングス
    切除が下肢に与える影響について検討した。
    【対象】対象は左半腱様筋,半膜様筋,大腿二頭筋を切除した左大腿部軟部腫瘍の男性1名(51歳、身長168cm、体重61kg)。坐骨神経は温存。術後左膝関節の可動域に制限はなく、ハム
    ストリングス
    の筋力はMMT4レベルであった。術後1.5ヶ月時の化学療法施行中に測定した。
    【方法】両肩峰,大転子,膝関節裂隙,足関節外果,第5中足骨頭に赤外線反射マーカーを貼った被験者に床反力計(kistler社:9281B1)を2枚設置した7mの歩行路を自由歩行、早歩き、ジョグを行わせ、三次元動作解析装置(BTS社:ELITE Plus)にて撮影し、十分な練習後、測定した。
    この時の床反力データおよび空間座標データを生体力学常数とともに臨床歩行分析研究会の提唱する数学モデル,力学モデルに代入し下肢関節角度,関節モーメント、関節パワーを計算し床反力データと供に比較検討した。
    【結果】健側と患側を比較すると、床反力垂直成分に明らかな差異を認めなかった。関節角度変化は若干の変動を認めるが、肉眼では跛行を感じなかった。遊脚後期の膝関節屈曲モーメント極値(Nm)は歩行-早歩き-ジョグと速度が速まるにつれ,患側:3.7,5.3,9.1、健側:11.5,20.7,27.8と各々増加するが患側のジョグ時は健側自由歩行時よりも少なかった。また、遊脚後期の膝関節パワー極値(Watt)では、患側:-17.2,-24.5,-41.8、健側:-56.2,-115.4,-137.4と関節モーメントと同様に患側のジョグ時は健側の歩行時よりも少ない結果となった。
    【考察】患側健側ともに通常歩行よりも早歩き、ジョグへと歩行速度の増加に伴いハム
    ストリングス
    の活動も大きくなった。また、その歩容は見かけではどちらが患側か判別できない状態であったが、患側ではモーメント、パワーともに著明に少なくハム
    ストリングス
    切除の影響の反映と考えた。歩行中のハム
    ストリングス
    の活動は関節モーメントから大よその見当がつくが関節パワーを求めた事により、膝関節屈筋として遠心性収縮による仕事が明確になった。ハム
    ストリングス
    切除の影響は遊脚後期の下腿の制動すなわちターミナルインパクトの回避が最も困難であり、走行出来ない理由であると考えた。
  • 池野 祐太郎, 福田 航, 片岡 悠介, 濱野 由夏, 竹内 謙太, 川上 翔平, 森田 哲生
    理学療法科学
    2014年 29 巻 3 号 459-462
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/03
    ジャーナル フリー
    〔目的〕膝前十字靱帯(ACL)再建における手術前スクワット時ハム
    ストリングス
    筋活動量と手術6ヵ月後大腿四頭筋筋力の関連性を検討することとした.〔対象〕解剖学的2重束ACL再建術を施行された患者12名とした.〔方法〕手術前スクワットのハム
    ストリングス
    筋活動量と手術6ヵ月後大腿四頭筋筋力体重比を測定し,これらの間の相関を求めた.〔結果〕手術前スクワット時ハム
    ストリングス
    筋活動量と手術6ヵ月後大腿四頭筋筋力体重比に負の相関が認められた.〔結語〕ACL再建術を施行された患者において,スクワット時のハム
    ストリングス
    筋活動が高い者は,ACL再建術後急性期にリスク管理上良好なCKCによる動作が行われているにもかかわらず,その後の大腿四頭筋筋力が低いことを示唆している.
  • 荷重センサーによる骨盤の動きの推定
    中泉 大, 淺井 仁
    理学療法学Supplement
    2015年 2014 巻 P1-B-0115
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/04/30
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】ハム
    ストリングス
    は二関節筋であり,下肢伸展挙上(以下SLR)時に伸張され,起始部(坐骨結節)に加わる張力により骨盤が後傾すると言われている。Bohannonら(1984年)は上前腸骨棘と上後腸骨棘とに皮膚反射マーカーをつけ,動画により骨盤後傾を測定した。その結果,SLR角度が増えると骨盤後傾角度も増えることを明らかにした。しかし,SLR時に皮膚が伸張されると,皮膚反射マーカーによる角度測定の信頼性が低くなる可能性があるので,方法論の吟味が必要である。一方,Muyorら(2011年)やLópez-Miñarroら(2012年)は,最終可動域でのハム
    ストリングス
    の伸張性と体幹前屈時の骨盤傾斜角度との関係を報告している。しかし,ハム
    ストリングス
    の短縮程度が強いほど,SLR時の骨盤傾斜角度に対する影響が可動域の初期あるいは中間域からも出現する可能性がある。そこで,今回我々は骨盤の後傾度合が上後腸骨棘部から受ける荷重量によって間接的に評価できるのではないかと考え,ハム
    ストリングス
    の伸張性とSLRの角度を変えた場合の骨盤後傾に伴う荷重量の変化との関係を検討した。研究仮説は以下の通りである:ハム
    ストリングス
    の伸張性の制限が強いほど小さなSLR角度で骨盤後傾に伴う荷重量が増える。【方法】被験者は神経学的,整形外科的疾患を有していない18~24歳の20名(男性10名,女性10名)であった。ハム
    ストリングス
    の伸張性により被験者をH群(最大SLR角度80°以上)とR群(最大SLR角度75°以下)とに分けた。実験手順は以下の通りである。(1)ハム
    ストリングス
    の伸張性は,他動的SLR角度によって評価された。ハム
    ストリングス
    の伸張効果を避けるために,SLRを左右それぞれ1回ずつ測定し,検査側はSLR角度の小さい側,もしくは左右の角度が同じ場合は左側とした。(2)骨盤部の荷重量の測定は,荷重センサーを取り付けた測定板上で背臥位にて行われ,上後腸骨棘部を荷重センサー部に一致させた。上前腸骨棘上をベルトにて測定板に固定した。開始肢位(SLR0°)での荷重量を0とし,測定角度は5°から最大SLR角度までを5°刻みに設定され,これをランダムな順番で試行した。一回毎の試行手順:測定角度まで検査側下肢が他動的に動かされ,測定角度で3秒間保持されているときの荷重量を測定した。測定条件は非検査側の大腿部の固定のあり,なしの2つである。それぞれの条件での測定は別の日に実施された。得られた荷重量を体重で除した値(%荷重量)をデータ分析に用いた。統計処理にはSPSS Statisitics19.0を用いた。下肢固定の有無の影響を検討するために,すべての被験者がSLRを行うことのできた55°までのデータについて,対応のある反復測定2元配置分散分析が用いられた。下肢固定の有無による主効果が認められなかったため,以下の分析は下肢固定なし条件でのデータを用いた。SLR角度に対するR群とH群との%荷重量の違いを検討するために対応のない反復測定2元配置分散分析を行い,交互作用が認められた場合,角度毎の%荷重量の差を対応のないt検定を用いて分析した。有意水準は5%とした。【結果】R群は9名で,最大SLR角度は55°~75°に,H群は11名で,同じく80°~90°に,それぞれ分布した。両群ともにSLR角度と%荷重量との関係は2次式で近似できた(R群r=0.996;H群r=0.998)。SLR角度55°までの角度と%荷重量との関係においてR群とH群との間に交互作用が認められ,R群とH群とではSLR角度に対する荷重の程度が異なることが示された。角度ごとに両群の%荷重量を比較すると25°および35°以降ではR群の%荷重量が有意に大きかった。【考察】両群ともにSLR角度と荷重量との関係は2次式で近似できたことから,今回の方法の妥当性が確認された。R群ではH群に比べ,小さい角度から%荷重量が有意に大きかったことから,ハム
    ストリングス
    の伸張性が低下すると,小さいSLR角度から骨盤後傾による代償が行われると考えられた。また本研究では下肢固定の有無による有意な影響はなかったため,下肢固定の有無による骨盤後傾への影響はない可能性が考えられる。【理学療法学研究としての意義】これまでハム
    ストリングス
    の伸張性はSLR最大角度によって評価されていた。しかし本研究の結果から同じSLR角度でもハム
    ストリングス
    の伸張性によって骨盤後傾の程度に違いがある可能性が示唆された。そのためハム
    ストリングス
    の伸張性は,最大SLR角度に加えて,SLR角度と骨盤の動きとの関係から評価する必要があることが示された。
  • *粕渕 賢志, 唄 大輔, 藤田 浩之, 福本 貴彦
    近畿理学療法学術大会
    2011年 2011 巻 87
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 近年、膝前十字靭帯(以下 ACL)の損傷予防を目的に、損傷のリスクが大きいジャンプ着地時のバイオメカニクス的側面からの研究が行われている。それらの報告によるとジャンプ着地時のアライメントが膝関節軽度屈曲、膝関節外反、外旋位であると受傷する危険が多いとされている。膝関節周囲筋機能については、大腿四頭筋の収縮はACLの張力を高め、ハム
    ストリングス
    の収縮はACLの張力を減弱させる機能を持つ。特に女性ではジャンプ着地時の筋活動について、大腿四頭筋に対するハム
    ストリングス
    の筋活動が男性に比べ低いとの報告がある。また神経筋コントロールの限界を補うものとして、前活動という機能がある。片脚着地時の膝関節の前活動について、内外側ハム
    ストリングス
    の筋活動は接地前50ms前後でピークを迎えるが、大腿直筋は接地後80msでピークになったと報告されている。そこで本研究の目的は、前活動中の筋活動がピークとなる時間に着目し、ジャンプ着地前の筋活動ピーク時間と、着地後の膝屈曲角度との関係を調査することとした。 【方法】 対象は大学バスケットボール部に在籍中の健常女性14名とした。いずれの対象も、下肢および腰部に整形外科疾患がなく、着地動作時に疼痛などがない者とした。着地動作は、高さ30cmの台から落下し、床反力計に片脚で着地するものとした。ジャンプする際、身体の位置が上方へ跳び上がらないように注意し、前方へ落下させた。片脚着地動作に使用した脚は非利き脚とした。本研究の対象者は全員が右利きであり、被験側は左脚であった。測定回数は3回行った。筋活動の測定には筋電図システムを用いた。被験筋は左下肢の内側広筋、外側広筋、半腱様筋、大腿二頭筋とし、電極を貼付し固定した。筋電図の解析は、ジャンプ着地する0.2秒前の期間で、筋活動がピークとなる時間を求めた。ジャンプ着地は床反力計の垂直方向成分が増加しはじめた時期とした。着地動作における膝関節角度の測定には、三次元動作解析器を使用した。反射マーカーを両面テープにより左脚の大転子、膝関節裂隙、外果に貼付した。膝屈曲角度は着地後0.2秒間の平均角度とした。統計学的解析は、着地0.2秒前の各筋の反ピーク時間と着地時の膝屈曲角度の相関を求めた。各相関はPearson相関係数を求め,危険率を0.05未満で有意とした。 【説明と同意】 本研究は所属機関の研究倫理委員会の承認(H21-2)を得て行った。被験者に対し研究の説明を行い、同意を得られた者のみデータを採用した。 【結果】 着地前0.2秒間の筋活動量がピークとなる時間は、内側広筋は着地19.9 ± 16.0ms前、外側広筋は着地36.6 ± 26.1ms前、内側ハム
    ストリングス
    は42.1 ± 30.3ms前、外側ハム
    ストリングス
    36.2 ± 23.4ms前であった。着地時の膝屈曲角度は33.4 ± 4.8°であった。ジャンプ着地前の筋活動ピーク時間と着地後の膝屈曲角度の相関は、内側広筋でr = 0.343,p = 0.230、外側広筋r = -0.541,p = 0.046、内側ハム
    ストリングス
    r = 0.560,p = 0.037、外側ハム
    ストリングス
    r = 0.657,p = 0.011であった。 【考察】 着地前の筋活動ピーク時間と、着地時の膝屈曲角度に、内側、外側ハム
    ストリングス
    で正の相関が得られ、外側広筋で負の相関が得られた。内側広筋では有意な相関は得られなかった。内外側ハム
    ストリングス
    の筋活動は接地前でピークを迎えると報告されており、本研究結果でハム
    ストリングス
    の筋活動ピークが速ければ速いほど、着地時の膝屈曲角度が大きくなるということより、ハム
    ストリングス
    はジャンプ着地動作では予測制御としての役割が重要なのではないかと考えられる。一方、女性では着地時の膝関節外反角度が大きく、内側広筋の活動が低いとの報告がある。また本研究で有意な相関が得られなかったことから、内側広筋は着地時の姿勢制御に重要な役割を持っていると考えられる。外側広筋は着地前の筋活動ピークが遅いほど膝屈曲角度が大きくなることより、予測制御、姿勢制御の両方の役割を持つのではないかと考えられる。またトレーニングにより、前活動の起こるタイミングが早くなるとの報告もある。よって、ハム
    ストリングス
    の前活動のピーク時間を早めることが可能であれば、特にハム
    ストリングス
    の筋活動が低いといわれる女性のACL損傷も予防できるのではないかと考えられる。 【理学療法研究としての意義】 着地時の膝屈曲角度を大きくさせるためには、ハム
    ストリングス
    の着地前の筋活動ピーク時間を早めることが必要であると示された。ACLの損傷予防には筋活動だけではなく、着地前の筋活動ピーク時間にも注目する必要があるということが示唆された。
  • 藤田 慎矢, 鈴木 安弘, 谷口 隆憲, 濱 澪, 鈴木 梨香, 田中 創, 近間 知尚, 碇 博哉, 松田 秀策, 徳永 真巳, 近間 英明, 吉本 隆昌
    スポーツ理学療法学
    2022年 2 巻 Supplement 号 PS-09-02
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/09/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 骨盤の動きに着目して
    中泉 大, 淺井 仁
    理学療法学Supplement
    2016年 2015 巻 P-KS-02-1
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】ハム
    ストリングス
    の短縮の評価には下肢伸展挙上(以下,SLR)テスト,膝伸展テストなどが用いられる。SLRテスト時には骨盤が後傾するため,見かけ上のSLR角度ではハム
    ストリングス
    短縮の評価法として妥当性が低い可能性がある。膝伸展テストでは膝伸展運動の様式や股関節屈曲保持方法などの条件を変えたときの骨盤の傾斜角度については明らかになっていない。本研究は健常成人を対象として,SLRテストと膝伸展テストにおける運動様式を変えたときの骨盤後傾角度の違いを明らかにすることを目的とした。研究仮説:自動運動での膝伸展テスト時,骨盤の後傾が少ない。【方法】被験者は健常な学生20名とし,右下肢を対象に背臥位でのSLRテストと膝伸展テストが行われた。皮膚上から骨盤(左右上後腸骨棘の高さで正中仙骨稜上)に傾斜角度計が取り付けられた。傾斜角度計はSLRテスト時には右下肢の大腿前面に,膝伸展テスト時には右下肢の脛骨前面にそれぞれ取り付けられた。全ての実験は測定用ベッド上で行われた。1)SLRテスト背臥位を開始肢位とし,この肢位での骨盤傾斜角度が記録された。テスト最終域でのSLR角度と骨盤傾斜角度が記録された。測定は5回行われた。測定条件は運動様式の違い(自動,他動)と骨盤・対側下肢の固定の有無の合計4条件とした。2)膝伸展テスト背臥位で股関節及び膝関節90°屈曲位を開始肢位とし,この肢位での骨盤傾斜角度が記録された。テスト最終域での膝伸展角度と骨盤傾斜角度が記録された。測定は5回行われた。測定条件は股関節屈曲保持方法の違い(自動,他動),運動様式の違い(自動,他動),骨盤・対側下肢の固定の有無の合計8条件とした。両テストともに骨盤の傾斜角度はテスト開始肢位から最終域までの角度変化量とした。統計処理:SLRテストでは2元配置,膝伸展テストでは3元配置の分散分析を行い,その後多重比較検定を行った。同条件でのテスト間の比較は対応のあるt検定を用いた。有意水準はそれぞれ0.05未満とした。【結果】SLRテスト,膝伸展テストともに運動様式(自動,他動)と骨盤・対側下肢の固定の有無について交互作用が認められず,それぞれに主効果が認められた。股関節屈曲保持方法の違い(自動,他動)については主効果が認められなかった。SLRテスト,膝伸展テストのそれぞれで,骨盤角度変化量が最も小さかったのは,いずれも自動運動,骨盤・対側下肢の固定あり条件であり(SLR4.2±2.7°,膝伸展0.6±2.1°),他動運動条件での値(SLR11.0±3.8°,膝伸展3.4±1.6°)よりも有意に小さかった。自動運動,骨盤・対側下肢の固定あり条件でのSLRテストと膝伸展テストにおける骨盤角度変化量は膝伸展テストでの値が有意に小さかった。【結論】本研究の結果より,自動運動での膝伸展テストが,臨床で多く用いられている他動でのSLRテストよりもハム
    ストリングス
    の短縮の評価法として妥当性が高いことが明らかとなった。
  • 湯本 翔平, 中島 彩, 高橋 佑介, 中川 智之, 恩田 啓, 木村 雅史, 立石 智彦
    理学療法学Supplement
    2016年 2015 巻 P-MT-09-4
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】坐骨結節剥離骨折は成長期のスポーツ選手にしばしば認められる。受傷メカニズムは,骨端線閉鎖前の脆弱な骨に対し,スポーツ動作等で強力な筋収縮が生じることで受傷に至るとされている。坐骨神経症状のあるものや骨片の転位が大きいものは手術適応であるとされているが,その報告は非常に少ない。今回,スポーツ中に坐骨結節剥離骨折を受傷し手術療法を行った症例に対し,スポーツ復帰を目指して術後介入を行い,良好な結果が得られたので報告する。【方法】症例は15歳男性。サッカーの試合中,ボールをトラップしようと股関節屈曲,膝関節伸展位となった際,殿部から大腿後面に疼痛が出現し,プレー困難となった。他院での単純X線像,CT所見にて,骨折部の転位が大きく当院紹介となった。術前評価ではジョギング,股関節内旋時に殿部から大腿後面に疼痛を訴え,SLRは110度/60度であった。受傷後6週にて,観血的骨接合術を行った。手術は腹臥位にて坐骨結節から長軸に10cm切開,大殿筋を下縁から持ち上げ,腹側へ落ち込んでいた骨片を確認した。骨片はcannulated cancellous screw3本で固定した。術後3週はシーネによる膝関節45度屈曲位固定を行い,それ以降シーネを外しROM開始となった。術後5週より1/2荷重,ハム
    ストリングス
    のストレッチを開始し,術後6週で全荷重となった。術後9週のCTにて骨癒合を認めたためジョギング開始となり,術後13週で競技復帰に至った。【結果】術後3週での評価にて股関節屈曲85度/120度,内旋15度/30度と左右差を認め,最終域では坐骨結節に疼痛が出現した。MMTでは大殿筋,ハム
    ストリングス
    共に3レベルであった。競技復帰時の評価では股関節にROM制限はなく,最終域での疼痛も消失した。SLRは80度/60度で,ジョギングや競技動作での疼痛はなかった。MMTでは大殿筋,ハム
    ストリングス
    共に4レベルと改善がみられ,CYBEXを用いた膝屈曲等速性筋力(角速度60度/秒)では健患比68%と術前の48%と比較し改善を認めた。【結論】術中所見にて骨片が腹側へ転位していたことは,ハム
    ストリングス
    の中でも腹側に付着部を持つ半膜様筋が骨片へ伸張ストレスを加えていたことを推察させた。そのため術後の介入においては殿筋群や内旋筋へのトレーニングを行い,筋の不均衡改善を図った。更にスクワットやジャンプなど,瞬発的なハム
    ストリングス
    の伸張が生じるトレーニングを段階的に進めた。筋の不均衡に対する介入と骨癒合に応じて段階的にハム
    ストリングス
    への伸張ストレスを高めていったことにより円滑な競技復帰が可能になったものと考える。坐骨結節剥離骨折に対する手術療法及び,術後リハビリテーションに関しての報告は稀であるが,手術療法に併せ,坐骨結節への伸張ストレス軽減を踏まえたリハビリテーション介入により良好な成績を得られる可能性がある。
  • 石田 優子, 寒川 美奈, 大場 健裕, 鶴喰 涼, 山口 瑞輝, 横山 美翔, 齊藤 展士, 山中 正紀, 遠山 晴一
    理学療法学Supplement
    2016年 2015 巻 P-SP-04-5
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/28
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに,目的】腰痛は日本人の約12%で罹患している(Yoshimura, 2014)。腰痛発生への関連因子として,ハム
    ストリングス
    短縮(Adams,1999),骨盤傾斜の増加(Min,2013),腹筋群筋力低下(Nourbakhsh, 2002)などが挙げられている。一方腰痛患者を対象とした研究では,腰椎可動性の減少を示した報告はあるものの,ハム
    ストリングス
    柔軟性や骨盤傾斜角度との関連性はまだ調べられていない。本研究は,ハム
    ストリングス
    柔軟性の違いがSit and reachテスト時における骨盤傾斜および脊柱可動性へ与える影響を検討した。【方法】対象は,腰背部および下肢に整形外科的・神経学的疾患のない健常若年男性30名(年齢21.8±2.0歳,身長172.5±5.3cm)とした。ハム
    ストリングス
    柔軟性はStraight leg raise(SLR)で調べ,被験者をLow SLR群(LS群)とHigh SLR群(HS群)に分けた。Sit and reachテストは,長座体前屈測定器(TOEILIGHT製)を用いて最大到達距離を測定した。胸椎・腰椎可動性と骨盤傾斜は,反射マーカーを第1胸椎棘突起(Th1),第1腰椎棘突起(L1),第1仙椎棘突起(S1),上前腸骨棘(ASIS),上後腸骨棘(PSIS)に貼付し(Vismarara,2010),デジタルカメラ(OLYMPUSμ-7020)で開始肢位と最大前屈位を撮影後,解析ソフトウェアImage J(NIH製)にて各角度を計測した。胸椎角はTh1-L1とL1-S1,腰椎角はL1-S1とASIS-PSIS,骨盤傾斜をASIS-PSISと水平線のそれぞれ成す角と定義し,開始肢位と最大前屈位での変化量を算出した。統計処理にはLeveneの検定を用い,胸椎・腰椎角および骨盤傾斜変化量の群間差を検討した。有意水準はp<0.05とした。【結果】SLR値は,LS群57.9±3.6°,HS群80.9±7.0°と両群間で差を認めた(p<0.001)。Sit and reachテスト時の腰椎角変化量は,LS群8.5±2.9°,HS群17.5±6.0°,骨盤傾斜変化量については,LS群11.9±4.4°,HS群20.2±4.2°と,HS群で有意に増大していた(ともにp<0.001)。胸椎角変化量については,LS群26.9±16.0°,HS群20.7±5.9°と差は認められなかった(p=0.168)。【結論】本研究結果より,ハム
    ストリングス
    柔軟性とSit and reachテスト時における腰椎角および骨盤傾斜変化量で関係性が示された。一方で,胸椎角においては関係性を認めなかった。前屈動作時の脊柱可動性や骨盤傾斜評価の際には,ハム
    ストリングス
    柔軟性に影響を受ける可能性を示唆する結果であった。
  • 中村 雅俊, 池添 冬芽, 梅垣 雄心, 西下 智, 小林 拓也, 田中 浩基, 藤田 康介, 市橋 則明
    理学療法学Supplement
    2014年 2013 巻 0402
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/09
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    【はじめに,目的】スタティックストレッチング(SS)は筋の柔軟性の改善を目的として広く用いられている。SSが筋の柔軟性に与える影響については,関節可動域(ROM)を指標として検討されることが多い。しかし,ROMは対象者の痛みに対する慣れなどの影響があるため,近年では関節を他動的に動かした時に生じる受動トルクあるいは受動的トルクと関節角度との関係(角度―トルク曲線)から求めた筋腱複合体(MTU)全体のスティフネスを柔軟性の指標として用いることが推奨されている。我々は腓腹筋MTUを対象にSSが受動トルクに及ぼす影響を経時的に検討し,腓腹筋の柔軟性を増加させるには最低2分間以上のSS時間が必要であることを報告した(Man Ther, 2013)。しかし,筋の柔軟性を増加させるために必要なSS時間については対象筋によって異なる可能性が考えられる。そこで本研究は臨床においてSSを行う機会が多いハム
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    を対象筋とし,5分間のSSがハム
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    MTUに及ぼす影響を経時的に検討し,ハム
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    の柔軟性を増加させるために必要なSS時間について明らかにすることを目的とした。【方法】対象は下肢に神経学的及び整形外科的疾患を有さない健常若年男性15名(平均年齢23.4±2.2歳,股関節90°屈曲位での膝最大伸展角度-33.4±6.1,最大膝伸展時の受動的トルク40.6±11.4Nm)の利き脚(ボールを蹴る)側のハム
    ストリングス
    とした。スティフネスの評価は等速性筋力測定装置(Biodex社製Biodex system 4.0)を用い,背臥位にて骨盤を軽度前傾位に固定した状態で,股・膝関節90°屈曲位から痛みが生じる直前まで角速度5°/秒で他動的に膝関節を伸展させた際に得られる膝屈曲方向に生じる受動トルクの計測を行った。この受動トルクと膝関節角度との角度―トルク曲線を求め,先行研究に従って最終10%の角度範囲の傾きをスティフネス(Nm/°)と定義した。SSは等速性筋力測定装置を用い,スティフネスの測定と同様に股関節90°屈曲位で膝関節を伸展していき,痛みが生じる直前の膝関節角度で1分×5回(計5分間)のSSを行った。SS開始前(SS前)とSS開始後1分毎にスティフネスの評価を行った。なお,SS開始後のスティフネスの評価,すなわち最終10%の角度範囲での角度―トルク曲線の傾きの算出については,SS前と同様の角度範囲を用いた。統計学的処理は,SS前とSS後1分毎のスティフネスについて,一元配置分散分析とScheffe法における多重比較検定を用いて比較した。有意水準は5%未満とした。なお,結果は全て平均±標準誤差で示した。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は所属施設の倫理委員会の承認を得て(承認番号E-1877),文書および口頭にて研究の目的・主旨を説明し,同意が得られた者を対象とした。【結果】ハム
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    のスティフネスはSS前:1.23±0.24Nm/°,SS後1分:1.14±0.17Nm/°,SS後2分:1.08±0.16Nm/°,SS後3分:0.90±0.18Nm/°,SS後4分:0.83±0.16Nm/°,SS後5分:0.74±0.11Nm/°であった。一元配置分散分析の結果,スティフネスに有意な変化が認められ,多重比較の結果,SS前と比較してSS後3,4,5分目で有意に低値を示した。さらに1分目と比較して4,5分目,2分目と比較して5分目で有意に低値を示した。【考察】本研究の結果,スティフネスはSS前と比較してSS後3,4,5分目で有意に低値を示したことから,SS開始後3分目以降でハムストリングの柔軟性向上効果が得られることが示された。我々は腓腹筋の柔軟性を増加させるためには最低2分間のSSが必要であることを報告しており,ハム
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    の柔軟性を増加させるために必要なSS時間と乖離がある。その要因としては,筋の断面積の違いと耐えうる最大の受動的トルク,つまりSS強度に違いがあることが関連していると考えられる。筋の断面積ではハム
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    の方が腓腹筋よりも大きく,SS強度に関しては腓腹筋の方がハム
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    よりも強かった(腓腹筋:49.4±12.4Nm,ハム
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    :40.6±11.4Nm)。これらの結果より,ハム
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    は腓腹筋よりも断面積が大きく,弱い強度でのSSしか行えなかったため,柔軟性を増加させるためには腓腹筋よりも長い時間である3分間のSS時間が必要になった可能性が考えられる。【理学療法学研究としての意義】理学療法分野においてSS介入を行うことが多いハム
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    の柔軟性を増加させるために必要なSS時間を検討した結果,最低3分のSS時間が必要であることが示唆された。
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