青果物の輸送中の物理的損傷の解析を目的とした振動シミュレーションを行なうための基礎的知見を得るため, 実輸送時のサスペンションの違いによる振動特性, ならびに走行速度と振動特性との関係について, 10tトラックの荷台振動を対象として調査を行った。上下方向および進行方向に対して前後方向, 並びに左右方向の3方向に関して振動測定を行ない, PSD (パワースペクトル密度) 解析を行った。
荷台床面の前部および後部位置での振動特性を比較した結果, 概して荷台前部に比べ後部での振動が大きかった。また, エアサスペンション車の上下方向の振動では, リーフサスペンション車で最も大きいピークである3Hz付近 (0.98~4.88Hz) の振動加速度が6割程度低減されていることが明らかになった。一方, 左右および前後方向の振動では, 振動低減効果は認められなかった。高速道路走行において速度ごとに分割した上下方向の振動におけるPSD波形は, 走行速度によってパターンが異なった。しかし, 違いが見られた周波数帯 (20~30Hz以上) の振動加速度は非常に小さく, 60~90km/hの範囲の走行速度の違いが損傷に及ぼす影響は小さいと考えられた。
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