スマートフォン,LINEをはじめとするメッセージングアプリの利用者の増加が進む中,学力との関連の知見の蓄積が求められている.本研究では,LINEの利用傾向や利用方法に着目し,学力との関連を明らかにするため, 都内私立中学1年生(n = 175)を対象とした質問紙調査を実施した.学力には定期テスト点数を使用し,LINEの利用項目との関連を分析したところ,受信メッセージを気にする念慮性や受信メッセージの確認頻度,友達数などの項目と学力の間に5%水準で, 相関係数の低い有意な負の相関が確認された. LINE利用時間との間に有意な相関は見られなかった.LINE利用項目のうち,どの要素が強く学力と関連するのか,関係性をより明確にするため,重回帰分析を実施したところ,決定係数は0.10,調整済み決定係数は0.07であり,独立変数の標準化回帰係数は,LINE友達数(β = -0.21,p < .05),受信メッセージ念慮性(β = -0.19,p < .05)の順に高く,いずれにおいても5%水準で有意であった.また,家庭学習時に,スマートフォンを「収納して学習するか否か」によって学力に差はみられるかt検定で検討したところ,収納群が非収納群と比較して5%水準で有意に点数が高いことが示された.
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