侵略的外来樹木ニ
セア
カシアの優占する群落内に,他樹種がいつ定着し,どのように成長するのかについての知見を得るために,長野県千曲川中流域の大規模なニ
セア
カシア林内にて,ニ
セア
カシア以外の木本植物の定着有無および定着過程を調査した。3カ所のニ
セア
カシア河畔林内(計3,600m^2)を調査したところ,ニ
セア
カシアは728個体確認され,ニ
セア
カシア以外に6科6属6種265個体の木本植物が確認された。特に,エノキは19個体,ヌルデは229個体と比較的多くの個体が定着していて,この2種について定着過程を解析した。先ず,エノキの樹高成長を年単位で調べたところ,樹高1mになるのに2〜3年必要で,これは周囲のニ
セア
カシアと同程度であった。さらに,樹齢分布を調べたところ,エノキとその周囲のニ
セア
カシアとの樹齢階級は同程度であった。これらから,初期成長が早いエノキは,ニ
セアカシアが倒木や伐採などの撹乱を受けた際にニセア
カシア林内へ定着できたと推測される。一方,ヌルデの水平根の追跡から3つのジェネットが確認され,大部分のヌルデはいずれかのジェネットからのラメットであった。また,樹長成長解析から,ニ
セア
カシア林内のヌルデは樹長1mになるのに3〜6年必要で,成長が悪かった。さらに,樹齢解析からニ
セア
カシア林内のヌルデは若い個体が多かった。これらから,ヌルデは,ニ
セア
カシア林冠下で成長は悪いが,水平根由来の栄養繁殖能によりニ
セア
カシア林内での個体数維持を可能にしたと推測される。
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