【目的】白内障術前検査における光学式眼軸長測定不能眼に対する水浸式と接触式超音波眼軸長測定法の比較。
【対象と方法】白内障術前検査にてIOLマスター
®(Carl Zeiss meditec)による光学式眼軸長測定が不能で、白内障術後3ヶ月に光学式眼軸長測定が可能であった28名36眼。全例術前に水浸式(A-Scan Plus
®:Acuttome)及び接触式(US-4000: NIDEK)超音波眼軸長を測定し、術後3ヶ月時のIOLマスター
®による眼軸長と術前の各値を比較した。有意差検定はWilcoxon符号順位和検定を用い、有意水準は5%未満とした。
【結果】術前の超音波眼軸長測定は、水浸式が平均24.06±1.50mm、接触式は平均23.88±1.40mmで水浸式が有意に長く計測された(
p<0.0001)。術後IOLマスター
®の平均値は24.00±1.40mmで、水浸式とは有意差を認めず(
p=0.44)、接触式とは有意差を認めた(
p=0.002)。また術後のIOLマスター
®との眼軸の差が0.2 mm以内の割合は、標準眼軸長眼では水浸式92.0%、接触式84.0%であったが、長眼軸長眼では、水浸式33.3%、接触式44.4%であった。
【結論】術前光学式眼軸長測定不能例でも標準眼軸においては、A-Scan Plus
®による水浸式超音波測定値は、眼内レンズ度数計算のパラメータを光学式と同じ条件で使用できる可能性が示唆された。長眼軸では、水浸式も接触式同様、測定値のバラつきが大きく熟練を要すると考えられた。
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