本研究は, 熟年期にある慢性病者の
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能力と健康の関係を検討することを目的とした. 研究デザインは相関関係検証型であり,
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能力を査定する質問紙 (SCAQ) と健康を査定する質問紙 (HQ) を使用した. 対象者は熟年期にある慢性病者250名であり, 平均年齢は56.1歳 (SD=6.3) であった.
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能力と健康は比較的強い有意な正の相関関係にあった (r=.45,P<.001).
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能力と比較的強い相関関係にあった健康の下位尺度は, 充実感であった. また, 健康と比較的強い相関関係にあった
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能力の下位尺度は, 健康管理法の獲得と継続, そして, 健康管理への関心であった.
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能力あるいは健康の得点に群問で有意差があった個人変数の各群で関係を検討した結果, 主婦の群では
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能力と健康の有意な正の相関関係が支持されなかった. 主婦の群では,
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能力と体調の調整の得点が他群より有意に高かった.
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能力と健康の比較的強い関係から, 対象者の
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能力と健康の両方に焦点をあてて関わることの重要性が示唆された. 特に
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能力と強い関係があった充実感は,
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能力に向けた看護援助において重視する必要があるだろう. 一方, 主婦の群で
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能力と健康の関係が支持されなかった背景には, 更年期障害や主婦特有の憂鬱さという心身の不調があると推察された. 主婦の群の体調の調整は過度となっているおそれがあり, 留意する必要性が示唆された.
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