「きぼう」や「こうのとり」の開発/運用を通し,日本はLEO拠点を中心とした有人宇宙システム開発/運用能力を獲得した一方,人員の輸送については依然として他国に依存している.日本が今後有人宇宙輸送技術を獲得するには,特に打上げ/帰還に関連した多くの技術を蓄積するとともに,それらの安全性をどのように評価し合否判定を行うかが課題となる.経験やデータの不足はハザード解析/評価の品質に影響するため,それを補うためにも予備試験やシミュレーションを充実させることは重要である.一方で,自らそのようなデータ蓄積を行わずとも,公開されている諸外国のミッション事例等を適切に分析することで,安全上重要な知見や要求事項を抽出することが可能である.世界の事例から得られる知見と日本が独自に行う研究成果等を組み合わせることで,輸送を含む有人宇宙システム安全に係る高い技術力を維持したい.
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