淡路産(もみじ3号,ターボ),北見産(北もみじ,札幌黄)およびワシントン州産の5種類の
タマネギ
について,植物性油脂とともに加熱して炒め
タマネギ
を調製し,遊離糖と加熱香気成分の分析,比較を行った.また,官能検査を実施し,炒め
タマネギ
の嗜好性に及ぼす甘味成分(遊離糖)の影響について検討した.
(1) 5種類の
タマネギ
のうち,もみじ3号が最も遊離糖含量が高く,ワシントン州産
タマネギに比べて甘味の強い炒めタマネギ
が得られることがわかった.また,この2つの
タマネギ
はその遊離糖含量の違いによって甘味を識別できると考えられた.
(2) 植物性油脂(コーン油)とともに加熱した炒め
タマネギ
香気成分について,SDE法により香気濃縮物を調製しGC, GC-MS分析して45種の化合物を同定または推定した.炒め
タマネギ
にはメチルプロペニルトリスルフィド,ジアリルトリスルフィド,メチル(
Z)-および(
E)-プロペニルジスルフィドやフラン類が煮熟
タマネギ
に比べて顕著に存在しており,この点は高温加熱した焼き
タマネギ
香気成分と類似した特徴であった.そして,炒め
タマネギ
香気成分は,焼き
タマネギ
香気成分に油脂由来の鎖式アルデヒド類が加わった組成となっており,これらのアルデヒド類が炒め
タマネギ
の濃厚な特有のフレーバーを形成するのに有効と考えられる.
(3) 5種類の炒め
タマネギ
のGC分析結果を検討し,また,GCパターン類似率を算出してその香気パターンの比較を行った.ワシントン州産
タマネギ
のスルフィド類の組成は4種類の国産
タマネギ
と違いがあり,パターン類似率もワシントン州産と国産
タマネギ
間では低い傾向にあった.この結果はもみじ3号とワシントン州産
タマネギ
の官能検査の結果を裏付けるものであった.国産
タマネギ
では,2つの北見産
タマネギ
はまったく同じ香気パターンを有することがわかった.
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