塩素化銅フタロシアニン顔料をビヒクル (樹脂ワニス) に分散させた場合, 塩素含有量並びに塩素置換位置の相違による分散系のコンシステンシー (Consistency) の変化, またキシレン煮沸処理による結晶の成長性の観察およびこれに伴う分散系のコンシステソシーの動きなどを実験・検討し, 塩素化銅フタロシアニン顔料の構造の, 分散系のコンシステンシーに及ぼす影響について考察した。その結果
1) 塩素含有量と分散系のコンシステンシーの間にはあまり相関性がない
2) 塩素置換位置と分散系のコンシステンシーの間には明らかに相関関係がある。
3) キシレン煮沸処理による結晶の成長性は塩素置換位置の違いにより明瞭な差が認められる。
4) キシレン煮沸処理による顔料の分散系のコンシステンシーの変化にも, 3) から推察し得るように塩素置換位置と相関性がある。
すなわち, 分散系のコンシステンシー, 耐溶剤性, 色相, 濃度などの各試験結果を総合すると, (4-) および (5-) 位塩素置換合成物は (3-) または (6-) 位塩素置換合成物に比べて, より顔料的性質が優れているものと判定しうる。
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