東京文化財研究所では、1936年よりほぼ毎年、日本の美術界の動向をまとめた『日本美術年鑑』を刊行している。この『日本美術年鑑』に掲載された美術家や美術関係者の物故者記事をまとめたウェブデータベースは、多くのアクセスを集め活発に利用されている。しかし記事が没後間もなく執筆されるという性質上、後に判明した事実などが追加されないという課題がある。そこで物故者の人名を用いてデータベース内を検索し、記事中の人名にリンクを作成、また当該の人名が含まれている記事を自動でリスト化する機能を実装した。この機能によって他の人物の記事から、執筆時に判明していなかった情報が補足できる。しかし関連する人名が記事中に必ずしも含まれるわけではない。この問題に対して、階層を持つ関連性を視覚化できるグラフデータベースの活用を試み、人名をキーとすることの発展性を確認することができた。
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