砥石のーイング・ドレッシングは工作物の形状精度や表面粗さに大きく影響を与える．レジンボンドダイヤモンドホイールのアやGC砥石などにより従来行なわれているが，ーイング比が低い，初期摩耗が多いなど，その特性は十分とはいえない．そこで本研究では新たにダイヤモンドホイールのアを開発し，従来から使用されている単石ダイヤモンドアやGC砥石と比較しながらーイング・ドレッシング性能を検討した．その結果，モリブデンをアとして使用したほうが従来の材質と比較して，顕著に高いーイング比が得られた．また提案のーイングを施したレジンボンドダイヤモンドホイールを用いて，実際に微粒子超硬金型を研削加工し，その加工性能を比較した結果，ホイールの摩耗量は従来の半分以下に抑えられることが明らかとなった．以上からモリブデンをア・ドレッサとして用いることの有効性を示すことができた．

抄録全体を表示

The aim of this paper is to clarify the transition of facilities and activities of the Kobokan. The Kobokan one of the settlement houses in Tokyo was established by Japan Christian Women's Organization in 1919 for the relief of the poor especially for their children, which is managed even now and mainly contributes to child welfare at the same place moved in 1929. The result can be summarized as follows; (1) In the case of Kobokan, all activities have been adjusted to the need of the residents at all times. When they judge unnecessary, they change programs as the occasion demands. (2) Especially in prewar times, their activities were not for giving alms to the poor, but for enlightening them to improve their living conditions. (3) Before the war, the area of the facility was not sufficient, so that they used the same space in common with other programs. As a result intergenerational exchange came off spontaneously.

抄録全体を表示

本研究は，貧困を課題とする地域における学生セ

メントの子ども会活動の実践について，その特徴と果たした役割について明らかにすることを目的とする．対象期間は，学生セメントの活動や運動が活発に展開される1956年から1973年とし，実践記録を中心に史資料の検討を行った．その結果，学生セメントの子ども会活動の実践の特徴として，①現代でいうアウトリーチの手法がとられていたこと，②子どもの置かれた「阻害状況」を捉え「要求」に応じた実践が展開されたこと，③個別実践を通して地域や社会状況を把握する視点があったこと，④エンパワメントの役割を含む運動性を有していたこと，⑤「教育と福祉の谷間」にある地域や子どもたちに関わり，補完的役割を担いながらその主体性や自治を育んでいったこと，が明らかとなった．

抄録全体を表示

小径軸付電着CBN砥石のーイング法として，本研究では高速に回転する石英板へ一定荷重のもとで砥石を押し付ける精密ーイング技術（石英ーイング）を開発した．その結果，比較的短時間でーイング効果が認められ，石英ーイング後の砥石底部において砥粒先端の平坦化および平坦部の形成，作用砥粒数の増加を確認した．また，石英ーイングを4 min，10 min，20 min施した砥石を用いてSUJ2生材の研削加工を行い，砥粒先端平坦部の面積率変化，砥粒先端位置のばらつき，研削面性状および法線抵抗の観点から，石英ーイング時間が長いほど砥石底部の研削性能が高いことが明らかとなった．さらに，機上での石英ーイング法を新たに考案するとともに，ビトリファイドおよびレジノイドボンドCBN砥石に対する石英ーイングの効果，研削液へのマイクロバブル添加による仕上げ面粗さの改善を確認した．

抄録全体を表示

前世紀以来のほとんどの分類によれば,クイナ科(Rallidae)はやその仲間,例えば,ジャノメドリ,ノガン,モドキ,ヒレアシ,ラッパチョウ,ノガンモドキ,カグーなどと共に目(Gruiformes)に入れられている。クイナにクイナ目(Ralliformes)として独立した目を割り当てている分類もある一方,他の分類では現在チドリ目(Charadriiformes)に入っているいくつかの分類群が,クイナ科に近縁であるとして目に入られてきた。DNA交雑法によるデータは,クイナが他のいかなる分類群よりも典型的な目鳥類に近縁であるが,目の中では特定の近縁群を持たないことを示唆している。

抄録全体を表示

上木の本数密度により林内相対照度が4段階に異なるヒノキ-ヒノキ二段林において,植物の発生と下木への被害状況について調査した。調査対象下木の約83%に植物の接触があり,明るい調査区ほど接触の割合が高くなる傾向が見られた。植物による幹への被害の発生率も同様に明るい調査区ほど高くなる傾向があった。被害発生率の平均は約11%であり,被害の約5割は幹への巻き込みとそれに伴う幹の肥大,三割弱が幹上部の曲がり,残りが両者の重複であった。加害したの接触形態のほとんどは幹への巻き付きによるものであった。

抄録全体を表示

有機酸の一種であるフマル酸をイヌとネコのスバイト尿石症に応用した。その結果,スバイト尿石によって上昇していた尿のpHを低下させ,尿石症を緩解した。またフマル酸を継続して投与することにより,尿pHを低い値で維持でき,スバイト尿石の再発防止に役立つことを認めた。

抄録全体を表示

ダイズの野生種(マメ), 半栽培種(系統397)および栽培種(エンレイ)を用い, 光合成能力を比較した.光合成速度はエンレイとマメが高く, これらに顕著な差異は認められなかった.一方, 系統397は光合成速度が低く, 陰葉的な特性を示した.蒸散速度はマメとエンレイに差異が認められ, エンレイが高い水利用効率を示した.系統397の水利用効率はマメとエンレイの中間であった.以上のことから, エンレイはマメに比べて, 葉肉抵抗が低い, あるいは光合成酵素活性が高いと考えられた.また, 栽培化の過程での水利用効率の向上が推察された.

抄録全体を表示

兵庫県北部を流れる田君川は,標高10数mという西日本としては極めて低標高にバイカモが生育する河川である.かつては大規模なバイカモ群落が見られたが,河川の全域を覆うほどヨシの繁茂が著しく,近年ではそうした群落が減少しつつあった.そこで,バイカモ群落を復元する手法を検討する目的でヨシの除去実験を行った.ヨシの除去は手刈り及び重機(バックホウ)を用いて行った.その結果,手刈りによるヨシ除去は1ヶ月に1回の刈り取りを3回以上行うことでヨシの群落高の抑制に有効であること,水面上の照度は年間2回以上の刈り取りで増加すること,ヨシの衰退とバイカモの植被率の増加には相関があることなどが確認された.重機によるヨシを全て取り除く方法(河床浚渫法)とバケット部をフォーク形として株状に成長したヨシのみをつかみ取る方法(ヨシ株除去法)で行った.その結果,河床浚渫法,ヨシ株除去法ともに処理後バイカモの植被率は増加したが,ヨシ株除去法を用いた方がより早くバイカモの植被率が増加した.また,バイカモの植被率の増加は重機処理区よりも手刈り処理区の方が早いことが確認された.

抄録全体を表示

北海道東部及び中部産の新種,Corydalis kushiroensis(和名:チドリケマン-新称,Fig. 1)を記載する。この種は,従来,フロラなどにおいてナガミノケマン C. raddeanaと混同されていた。チドリケマンは日本産のキケマン属Corydalisのうち,ナガミノケマン(Fig. 2, B; Fig. 3, C),及びケマンC. ochotensis(Fig. 2, D; Fig. 3, B)に類似する。以上の3種は,盛んに分枝し,多数の茎葉を付ける二年草であり,黄色の花冠,朔果のバルブが巻き上がることで種子を弾いて散布すること,夏から秋に掛けて開花・結実することなどの特徴で,日本産の他の種から区別される。チドリケマンは,ナガミノケマン,ケマンからは,花が小さい(長さ9-13mm)ことと,距が真直ぐ斜め上へ伸びていることで区別できる。後の2種は15-20mmの花を持ち,下向きに湾曲する距を持つ。シベリア・モンゴル・中国北部に分布するC. impatiens (Fig. 2, A)は小形の花冠,斜上する距,線形の果実を持つ点,チドリケマンに似るが,柱頭の形が両者では異なる。花冠が更に小さく長さ10mm以下であり,小葉やその裂片がチドリケマンより狭いことでも区別できる。チドリケマン,ナガミノケマン,ケマンの3種とも沢沿いや林縁,疎林内,路傍,人家近くなどの半陰からやや開けた草地に生育する。チドリケマンは,北海道の東部・中部に固有であり,西限は日高支庁の南端部,あるいは旭川に達する(Fig. 4)。ナガミノケマンは,共に,東アジアに広く分布し,前者の分布は全体として後者のそれより南に偏っている。日本では,ナガミノケマンが本州・九州に広く分布するのに対し,ケマンの分布域は日光・尾瀬周辺,上信国境の一部に限られる(Fig. 4)。大井(1953, 1965),北村・村田(1961)はナガミノケマンの差異を変種レベルの違いとした。しかし,両者は果実の形状に加え,苞の形状,花序の花数,柱頭の形態において異なる変異域を持っている。そこで本稿では両者を別々の種として認識した。日本産の3種への検索表:1. 花長9-13mm,距は短く,やや斜め上を向く。外下花弁の基部に疣状の突起がある。果実は線形,種子は果実内で1列に並ぶ。…チドリケマン 1. 花長15mm以上,距はより長く,下側へ屈曲する。外下花弁の基部に疣状の突起は通常無い。2. 果実は線形,種子は果実内で1列に並ぶ。…ナガミノケマン 2. 果実は倒披針形から倒卵形,種子は果実内で2列に並ぶ…ケマン

抄録全体を表示

o-フタルアルデヒド酸の水溶液にバルビ酸を加えて煮沸し,定量的に5-(2-カルボキシーベンジリデン)-バルビ酸を得た。また,4-イミノバルビ酸,2-チオバルビ酸,2-チオー4-イミノバルビ酸を用いても同様の反応が起り,それぞれ対応する2-カルボキシーベンジリデン縮合物を得た。これらの縮合物と水酸化ナトリウム,赤リンとヨウ化水素酸,硝酸,塩酸,硫酸などとの反応生成物につき研究を行なった。

抄録全体を表示