2013年11月に発生した台風1330号(タイフーン・ハイエン)は,最盛期には中心気圧895 hPaにまで発達し,勢力を維持したままフィリピン中部を横断した.そのため,タクロバンをはじめとするレイテ湾沿岸地域において甚大な高潮被害がもたらされた.本研究では,高解像度台風-高潮結合モデルを構築し,台風1330号の発生から消滅までの内部構造とそれに伴う高潮の再現実験を行った.3 km格子の雲解像スケールの自動移動ネスティングを導入することで台風1330号の強度発達を高精度に再現でき,レイテ湾における現実的な高潮をも再現できた.また,高精度な台風強度評価および高潮評価のためには,台風が進行する海域における海洋混合層厚さの空間分布を正確に入力する必要があることが明らかとなった.
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