本研究では環境税による農業汚染の軽減効果として, 窒素肥料に対する課税 (窒素税) による硝酸性窒素の表層流出量の変化を考察した. 実証分析はトウモロコシ・大豆の輪作が盛んな米国アイオワ州
デモイン川
流域を対象とし, 土地利用モデルとSWATモデルから構成される統合モデルによる政策シミュレーション分析を実施した. 統合モデルによる分析結果によれば, 窒素税の導入により汚染型農業生産 (トウモロコシの連作およびトウモロコシ・大豆の輪作) の面積が減少し, 非汚染型の農業生産 (牧草その他) の面積が増加することが確認された. 土地利用の変化が顕著なのは比較的高い税率 (200%以上) においてであり, 窒素肥料に250%の税率を課すことにより,
デモイン川
流域からの硝酸性窒素流出量を約70%削減しうることが示された.
抄録全体を表示