要旨: 社会的交流が乏しい環境下では, 認知症の発症リスクの上昇が示唆されている。そのため, 難聴高齢者の生活環境における社会的交流状況を把握する必要がある。我々は装用時の生活環境音圧を入力音圧として表示できる
データログ
搭載補聴器を活用し, 装用指導を行っている。そこで, この入力音圧の分布に着目し, 当科補聴器外来で入力音圧を記録できた27例を対象に難聴高齢者の生活環境と, それにもとづいた装用指導の重要性について検討した。その結果, 使用頻度の最も多かった入力音圧は, 全症例平均で50~60dBであった。また, 非就労症例では高齢者が多く, 入力音圧の分布がより低入力であることが判明し, 社会的交流が乏しい音圧環境で生活をしている可能性が考えられた。高齢化により今後増加の可能性がある非就労の難聴高齢者への装用指導は, 特に常用指導に加えて, 装用者の生活環境にもとづいた社会的交流促進指導が重要と考える。
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