1) 1971∼1973年,沖繩県南大東島のサトウキビ畑で,
トノサマバッタ
が大発生した。
2) 大発生地区の幼虫は体色が黒化し,前胸背板上面が凹み,顕著な集合性を示した。また小規模ながら,成虫の群飛と集合産卵が認められた。
3)
トノサマバッタ
の孤独相と群生相を分ける形質の一つである,成虫前胸背板上方の形状(第3図のh/P比)をしらべたところ,南大東島大発生地区の標本はいずれもマイナスの値を示し,本州,九州産の孤独相と有意に異った。しかし,大規模な群飛がみられないことから,本個体群は転移相に達したものと判断した。
謝辞:論文発表にあたり,最初に異常発生の事実を教示され,筆者の一人仲盛の研究に便宣をはかって下さった琉球大学農学部東清二助教授,現地調査に協力された沖繩県農業改良普及員嘉陽宗男氏,南大東村役所産業課佐藤民樹氏,大東糖業農産課岸本忠直氏,沖繩県農業試験場村井実博士に感謝する。また,農業技術研究所の所蔵標本を貸与され,種々御教示頂いた同所昆虫科福原楢男技官に御礼申し上る。
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